■ 記事概要
10月の終わりから11月の初めにかけて、「きんてつ鉄道まつり2019」が開催されました。
例年の如く、見所ある展示も幾らか存在しており、簡単にですが、「きんてつ鉄道まつり2019」で見られた展示の一部を、少しずつ振り返っていこうと思います。
今回主に取り上げるのは、高安会場のトラバーサー実演です。
■ 記事本文
こんばんは
今年も「きんてつ鉄道まつり」の時期がやって来ました。2019年度は、10月の19(土)・20(日) から催行という事で、2週間ほど前に五位堂・高安会場でのイベントが終了。先日には、塩浜会場でのイベントも催行され、前後半で2部構成の「きんてつ鉄道まつり2019」は幕を閉じました。
今回の記事では、「きんてつ鉄道まつり2019」の展示内容について、前半に開催された高安会場のものから一部を取り上げて紹介します。
第8記事目 目次
※ [はじめに] は前記事とほぼ同内容
1:はじめに
3:トラバーサー実演
4:おわりに
5:リンク集
では、記事内容に移ります。
事前の予告があった通り、先日10月19(土)・20(日)の二日間に渡って、「きんてつ鉄道まつり2019」が五位堂および高安の2会場で催行されました。
天気予報では、時々で曇り・雨・晴れがあるとの事でしたが、実際その通りでしたね。当日の会場では、場所によって地面のぬかるみが非常に気になったものの、例年通り二日間の開催という事で、両日ないし一日で楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。
さて、ご存知の方もおられるかもしれませんが、10月14日は [新橋-横浜] 間の鉄道開通日という事で、同日は1994年から「鉄道の日」と設定されています。現在の国土交通省によって制定されたこの記念日に協賛するという事もあってか、秋の季節は、駅での催しや工場公開といった鉄道関連イベントの数が比較的多くなっています。(毎年10月11~20日は、「鉄道の旬間」という期間に設定しているそうです。)
それ故、幾つかの事業者で鉄道イベントの開催日が重複するという事もしばしば起こります。
今年度だと、近鉄の近場での工場公開イベントとして、京阪の寝屋川や神鉄の鈴蘭台が被りました。他にも、「駅祭ティング2019 in 天王寺公園」が、天王寺公園エントランスエリア「てんしば」で開催されており、目的に応じて各所で人が分かれたように思います。
今年度の私は、昨年に引き続いて、掛け持ちせずに近鉄のみを訪問。なので、五位堂・高安会場共に比較的のんびりと見て回る事が出来たように思います。
今記事では、「きんてつ鉄道まつり2019」の簡単な振り返りという事で、前半開催の高安会場において、個人的に注目できた内容であるトラバーサー実演の様子を紹介します。
※ 以下、一部を除く、特記以外は全て [高安検修場/2019-10-19or20]
2:高安検修場のトラバーサー
実演内容に移る前に、高安検修場のトラバーサーについて少し。高安駅のホームからでも見る事が出来るトラバーサーですが、じっくりと見る事が出来るのは「きんてつ鉄道まつり」の時ぐらいです。
ここでは、その外観について、写真を中心に簡単に紹介します。
トラバーサーの全体外観は、↑のような感じ。機能は、他の工場等で見られるトラバーサーと同じだと思います。トラバーサーの機能については、wikipedia で以下のように記載されていました。
トラバーサー (Traverser)、は、重量物を水平方向に平行移動(長尺物を横移動)させるための装置。一般には、鉄道の工場、検査場、車両基地などで複数線路間で鉄道車両を移動させる遷車台(せんしゃだい)を指すが、ロケット基地でロケットを発射台に移動させる装置等もトラバーサーと呼ばれる。
…
車両の入換を行う際に、奥にある車両も効率よく引き出せるために考案されたという。敷地の形や広さに制約のある大都市における路面電車の基地などに見られることがある。
「トラバーサー」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』 2019-11-07 (木) 22:00 閲覧
ここでのトラバーサーは、入場中の車両を建屋内移動させる際に稼働しているようで、今回の実演では、その働きの様子を見学する事が出来ました。
他と比べた時、見た目に関しては、屋根や線路横のガード壁が無い分シンプルなように思います。
建屋内移動の補佐が主要な機能という事で、平行移動できる範囲は、改造等を行う建屋区画はもちろん、その左右2線分までカバーしている模様。今回の「きんてつ鉄道まつり2019」では、建屋区画外の内、片方は運転台見学や「あおぞらⅡ」の展示・もう片方は記念グッズや鉄道コレクション等の物販を行うテントの設置が行われていました。前者の区画は、「きんてつ鉄道まつり2012」のトラバーサー実演で実演時間外の車両留置に使われていましたが、翌年以降は実演毎に車両の出し入れが行われており、現在はそれも含めて見所ある実演となっています。
トラバーサーの中央部分には、実際の操作を行うと思しき区画があり、その横には集電していると思しき柱が建っています。動かす時の電気は、集電機能付きの柱を通して、トラバーサーと平行して張られている架線から取っている…という見た目です。柱直上の架線数は3本であり、三相交流の電力をそのまま使っている感じなのでしょうかね。ちなみに、実際の実演時には、この区画に人はいません。
固定部の地面と移動部のトラバーサーを横から見ると↑のような感じ。高さの方は、地面に対し、その両端からトラバーサー部分の警戒線区画にかけて少し盛り上がっています。手前には黄色の手歯止めが・奥には集電柱上の架線を張る架線柱が見えます。
実演時の伊勢方トラバーサー接続部分を上から見ると、↑のような感じ。向かって右側のレールは接続されていませんが、同左側のレールは ⑬ と番号が振られた建屋内区画に続くレールの片側と接続されています。この状態で、③ と番号が振られた上本町方の建屋内区画、すなわち、この時の実演で C#22109 [Mc] が収納されていた建屋内区画のレール両側と繋がっていました。レール1本を共用して、上本町方と伊勢方の区画で線路が1435mmズレているんですね。
レールの接続部分およびトラバーサーの下回りを上から見ると↑のような感じ。接続部分におけるレール横の掘り込みは幅広で、そこから少しずつ狭まっていきます。一方、トラバーサーの下の、レール流用ぽい見た目の出っ張りに関しては、そこまで高さがありません。トラバーサー下に計8か所存在していますが、その上に乗っていると思しき車輪に関しては、この角度でも真横からでも見えませんでした。
トラバーサー西側には、何やら巻き取り装置のような機構があります。どういった事に使われているのかは、この時は分かりませんでした。端の柱には、車両が接続部分を走る際の確認を補助すると思しきライトが備え付けられています。
高安会場でのトラバーサー実演は、2012年度の初回以来、これまで 2013・2014・2018年度に行われており、今回で通算5回目です。
トラバーサーに乗る車両は、その時々で高安へ入場している編成の内の一両であり、今の所、全ての年で異なる車両が実演に登場。何かしらの改造工事が行われている途中の車両が出て来るので、車両に関心がある一部の層にとっては、トラバーサー上で動くシーン以外にも見所があるように思います。
さて、2019年度のトラバーサー実演ですが、今回は22000系「ACE」が使用されました。同系は、2015年度から車体更新工事が行われており、その関連で入場していた車両が改造途中でお披露目された事になります。
ここでは、以下、実演時の様子を写真で振り返ります。
トラバーサー実演は、午前・午後で各日数回実施されており、いずれも各時間帯の30分からスタート。時間のほんの少し前になると、③ と書かれた建屋区画のシャッターがゆっくりと上へ開いていきました。車両が登場してから建屋内に戻るまでの間は数分間ですが、私が見学した実演時間帯のトラバーサー周りは盛況だったように思います。
シャッターが完全に開くと、リニューアル工事中の22000系がお目見え。今回は上本町方の先頭車が使用されたので、シャッターが開いた時にまず見えたのは妻面です。
各種工事を行っていると思われる建屋内の様子も少しだけ見えましたが、車体に合わせて三段構成となっている立ち区画がありました。建屋内、日中でもそこそこ暗そうな雰囲気ですね。
ちなみに、22000系は、従来までの26000・20000系までと異なり、貫通幌内側の貫通扉周りの面積が広めに取られています。このスタイルは、貫通路の幅が若干変化しながら、以降に新造された特急車にも継承されており、これは先日に登場した80000系でも同様かと思われます。
普段は幌ですっぽり覆われているために中々見る機会が少ない部分ですが、今回の実演では、扉周辺の各部位を近くから見る事が可能であり、良い機会でした。
シャッターが開いてしばらくすると、車両がゆっくりと動き出しました。こまめな確認の合図が入りながら、そしてゴロゴロと車輪の音を響かせながら、トラバーサー伊勢方の端まで進行してきます。実際に車両が通るという事で、トラバーサー中央区画のライトも点灯していますね。
1両が完全にトラバーサー上に載り終わった時、③ 建屋区画の奥側を目にする事も出来ましたが、そこにも同じく更新中の22000系の姿がありました。伊勢方先頭車という事で、貫通扉を開いた状態の正面が見えます。車番は分かりませんでした。
車体1両分が完全にトラバーサー上に載った後は、前後の台車に黄色の手歯止めが置かれ、それから移動の実演がスタート。今回の実演に使われた C#22109 [Mc] は、7月下旬に車体更新目的で高安へ入場した編成の片割れです。実演時は、構内移動用の仮台車に載せられており、真横から見ると、通常時よりも嵩上げされた車高が目立ちますね。
移動に際しては、トラバーサーはサイレンを響かせながら動き、その動きの前後では、係の方が緑と赤の旗を動作と停止の合図代わりに使用していました。
トラバーサー上の車体の方は、工事の真っ最中という事で屋根のパンタグラフやクーラーの一部が無く、またリニューアル車仕様で窓が一部埋められています。
前頭部を見てみても、既に各ドア上へ水切りが追設されていたり、前面・側面の行先等案内表示機がLED光源の物に交換されていたりします。乗務員ドアは更新仕様に変更され、標識灯も交換されていそうですね。電連二つ付けに対応したスカート形状の変更やその内側にある注意喚起スピーカーの追設も目立ちます。
トラバーサーの方は、一回の実演につき建屋の端と端を2往復し、それが終わると再び庫内へ戻ります。仮台車上の車両は、当然ながら自力では動けないため、その動力となるべく、連結器を装備したフォークリフトが牽引役として登場しました。反対に、庫内から車両が出て来る最初は、このフォークリフトが車両を押し出すスタイルです。
このフォークリフトに備え付けられている連結対応機構は、実際に使用しているのかどうかは分かりませんが、上下に動かす事が出来そうな見た目です。
備え付けられている連結器に関しては、半永久連結器と密着連結器に対応している様子。半永久対応側は、元々は自動連結器対応の簡易連結器に、対応要素の穴付き部分を後付けした感じです。
実際に車両を牽引したり押し出したりする際は、半永久連結器の場合だとアダプターを介して、密着連結器の場合だと直接に連結を行うようですね。昨年の実演では、入場中の30000系 C#30263 [Mc] が使用されていたので、半永久連結器CSE76との連結・解結シーンが見られましたが、今年は先頭車正面と向き合う形なので、密着連結器CSD90との組み合わせが見られました。
今年度実演の連結光景は↑のような感じです。真横から見ると、フォークリフト側の連結器が若干上向きになっています。ACE側は、仮台車に載って車高が嵩上げされているので、現在の通常連結器高さ860mmからさらに高い位置に連結器がある事になりますが、フォークリフト側は、難なく対応出来ている様子でした。
トラバーサーと車両の連結に関しては、上述の通り、トラバーサーが接近してそのまま直接くっつくという流れです。対して、解結に関しては、直前に係の方が C#22109 [Mc] 側に備わる CSD90 の解放レバーを操作して互いを切り離すという流れでした。レバー操作に際しては、フォークリフトの連結器横に装備されている棒を使うようですね。
ちなみに、昨年実演の半永久連結器を使った連結は、フォークリフトが装備する簡易連結器の穴と予め CSE76 にボルトで接着された黄色アダプターの穴とを合わせた後、横から栓する形で棒を差し込んで塞ぐ&固定するという流れで行われていました。解結する際は、固定を解除して棒を抜き取るという流れです。黄色アダプターに関しては、今年度はフォークリフト側に付けっぱなしという感じでしたね。
トラバーサー作動の間、車両の出し入れを担当したフォークリフトは、庫内で待機でした。トラバーサー実演が終了すると、再び C#22109[Mc] と連結し、車両を庫内へと牽引していきます。車両の方は、トラバーサー上で固定される必要がなくなったので、庫内移動前に係の方によって仮台車前から手歯止めを抜かれていました。
実演が終了し、フォークリフトによって庫内に入っていった車両は、停止した後、中で再び手歯止めが置かれて留置。次の実演がある場合は、毎度、その時までシャッターが降ろされていました。
これにてトラバーサー実演が終了です。
昨年度に復活イベントと称して再開されたトラバーサー実演、今年も22000系を使用して催行という事で楽しみにしていましたが、昨年同様、係員の方の手際よさが目を引き付けました。
流れを把握した上で上手く連携できるからこそ、出し入れから移動までのあのスムーズさが実現出来ているのだろうと思えます。今年も見学する事が出来て満足でした。
今年も五位堂・高安と訪問しましたが、車両等を記録する事に対しての満足感については、個人的にここ数年で一番だったと思っています。引き続き、他の内容を取り上げるかは分かりませんが、今回はここまでです。長々と読んでいただきありがとうございました。
今回の記事は以上です。
「ピロのブログVer3」の簡易リンク集です。当サイトへのアクセス率向上に繋がる、鉄道まとめサイト・ランキングサイトのものをピックアップしています。クリックしていただけると嬉しいです。(全て新規タブでひらきます)
このページの内容は以上です。