こんばんは
今回の覚え書き内容は表題の通りです。
以前、どこかのサイトを訪問した時、「シリーズ21」以前に登場したロングシートの近鉄一般車は、車両によって座席の座り心地が異なるという情報記載を目にしました。
私は奈良県民なので、奈良線や大阪線の車両にしばしば乗車するのですが、確かに、座席に座った時「そういえば座り心地が若干違うような…」といった事を感じた経験があります。ぶっちゃけ、座り心地を意識するなんて事は、スマホなり会話なりといった他の事に意識が向いていると中々気づかないと思うのですが、よく考えてみれば、それ以外の要素、例えば座席の形状変化と連動していると思われる肘掛形状の変化は、視覚情報として明確に気づかされます。
今回は、近鉄一般車の室内座席に見られる肘掛形状に関して、8600系の状況をメモしておく事にしました。
※このページでは、便宜上、8600系各編成(各車)を1970年代竣工グループに準じて以下のように分類・呼称します。
①1973年度(夏)竣工グループ:8600系1次車(8601F-8608F)
②1973年度(冬)竣工グループ:8600系2次車(8609F-8610F)
③1974年度竣工グループ:8600系3次車(8611F-8612F)
④1975年度竣工車:8600系4次車(8613F)
⑤1976年度(夏)竣工グループ:8600系5次車(8614F-8616F/C#8617-C#8117)
⑥1976年度(冬)竣工グループ:8600系6次車(C#8667-C#8167/8618F)
⑦1978年度竣工車:8600系7次車(8619F)
⑧1979年度竣工グループ:8600系8次車(8621F-8622F)
■ 第3〈メモ〉
●近鉄8600系-室内座席の肘掛形状
先ずは8600系1次車として竣工したグループの肘掛形状です。↑は1次車にあたるC#8606の室内2位寄りを写したものですが、肘掛パイプの湾曲具合はやや角ばった見た目となっています。
この肘掛の隅が角ばった仕様は、8000系列群として8600系の前に竣工した8400系や旧型車両からの機器流用で竣工した奈良線系統の裾絞り系列である920系の車内でも見られます。
但し、両系列と8600系1次車とではパイプの横長さが異なっています。それぞれの肘掛形状は、前者が長方形・後者が正方形に近い形状です。8600系1次車では、パイプの取付位置に影響を与えていると思われる座面下のヒーター区画が8400系や920系と比べて大きくされており、この拡大によってパイプも横に長くできるようになったのだと思います(以下、920や8400系で採用の肘掛を「長方形タイプ」、8600系1次車で採用の肘掛を「正方形タイプ」と呼称)。
現在の8600系には、920系もとい1010系からの編入車として8617F内にC#8177[T]が在籍していますが、この車両の肘掛は920系からの仕様で長方形タイプです。この車両が代替したC#8167[T]の肘掛に関しては、後述します。
この正方形タイプの肘掛は、その後に竣工した8600系にも継続して採用されており、2-4次車にあたる各編成の室内座席には1次車と同仕様の肘掛が取り付けられています。座席に関しても1次車と同じだと思います。
一方、1976年度竣工の5次車では肘掛の形状が変化しました。↑は5次車にあたるC#8664の室内1位寄りを写したものですが、肘掛パイプの隅は丸みを帯び通路側には傾斜も付けられています。肘掛は、正方形というよりは台形に近い形状となりました(以下、8600系5次車採用の肘掛を「台形タイプ」と呼称)。
ちなみに、通路側に傾斜を付ける仕様の肘掛形状は、以降の近鉄一般車での標準となっており、パイプの縦長さの違いや立席補助器具の有無はあれど、現在の最新形通勤車である「シリーズ21」や7020系でも肘掛は台形です。
肘掛形状が[正方形タイプ→台形タイプ]へ変更された事は、座席の改良と連動していると思われます。実際、台形タイプの肘掛を持つ座席では、正方形タイプの肘掛を持つ座席に比べて座面が広くされました。また、通路側の端と背もたれ側の端とでクッションの厚みが若干異なっています。
通路床から座面までの高さや背もたれの厚みに関しては変化がないものの、座席自体は4次車までのものと仕様が変えられており、肘掛形状もこれに併せる形で変更されたと考えるのが妥当だと思います。(以下、8600系5次車で採用された台形タイプの肘掛を持つ座席の事を「新座席」と呼称)。
新座席は、1976年度竣工の8600系5次車の他、同年度以降に竣工した2800系増備車(=2812F以降)でも採用されました。これは、以降、8000系モ8250形や8800系で別の新たな改良座席が登場するまでのスタンダードになったのではないかと思います。
8600系に関しては、5次車の竣工以降、最終の8次車まで新座席もとい台形タイプの肘掛が採用されました。なので、8600系として竣工した各車の肘掛形状は、正方形タイプ(=1-4次車/8601F-8613F)と台形タイプ(=5-8次車/8614F-8622F)の2種が混在するという事になります。現在は8600系の一員となっているC#8177も考慮するのであれば、上記2種に長方形タイプを加えた3種となります。
ちなみに、6次車にあたる車両でかつて8617Fに組み込まれていたC#8167[T]は、↑に引用したツイートにも記載されている通り、事故復旧前は8000系モ8000形C#8059[Mc]だった車両です。8000系時代の肘掛は、恐らく8400系や920系(や8000系)と同様の長方形タイプだったと思うのですが、引用したツイートに掲載されている画像からも分かる通り、8600系時代には台形タイプへと変更されています。
一方、同じ事故からの復旧車で、2021年時点では8400系8409Fへ編入されC#8459[M]として現役中の元ク8500形C#8559[Tc]の肘掛は、8000系時代と同じと思われる長方形タイプのままです。(EX:8000系1次車である8023F両先頭車は長方形タイプ/「近鉄電車写真集6」にて確認)
元8059Fだった両車で肘掛形状(内装)に違いが生じている理由は、明確には分かりません。ただ、C#8059の復旧は、当初より冷房装置を取り付けて8600系6次車の竣工扱いで行われています。
この事から察するなら、C#8059の内装は、同車が当時最新鋭だった8600系の一員となるにあたり、同系5次車以降に基づく水準へしっかり改良されたと考えるのが妥当なのかなと思います。
元C#8559と比較して手の込んだ復旧改造が行われた元C#8059でしたが、実車の方は、組み込み先編成である8617Fの今後の活躍年数を考慮してか、C#8177[T]に代替される形で2014年に廃車されました。
同車は、何気ない存在ながら見方によっては特徴ある車両であったと思います。個人的には、通学で何度か乗車する事もあった一方で記録はあまりしておらず、今でもちゃんと撮っておきたかったと思う車両の1つです。
気になる・気になりそうな車両は、撮れる時に何かしら記録しておきたいと思えます。
今回の〈メモ〉は以上です。
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