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近鉄一般車 雑記

〔雑記〕登場時塗装が復元された西信貴鋼索線コ7形7号車

こんばんは

今回の〔雑記〕は表題の通りです。

最近の近鉄車両に関する話題は、専ら引退が目前となっている特急車12200系で持ち切りの様子がありますが、それ以外にも着目出来る様々な内容がありました。

今回の〔雑記〕では、車両の外板塗装変更に関する話題として、今夏に車体補修工事を行っている西信貴鋼索線のケーブルカーの事を適当に書いてみようと思います。


■ 第8〔雑記〕

西信貴鋼索線(西信貴ケーブル)は、信貴線と接続する信貴山口駅から高安山駅までの1.3kmを結ぶケーブル線です。戦前1930年に信貴山電鉄(→信貴山急行電鉄[1931年改称])の手で開業された路線ですが、戦時中に政府命令で不要不急線とされたために一時期営業を止めた過去があり、休止後まもなく信貴山急行電鉄を吸収合併した関西急行電鉄改め近鉄が戦後1957年に路線を復旧させて現在に至ります。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口付近/2021-07-25〉

現在使用されている営業用車両は、1957年の路線復旧時に導入されたコ7形C#7及びC#8の2両です。他に物資輸送用の3輪貨車としてコニ7形C#7及びC#8の2両も復旧当初から在籍しており、これらは片方がコ7形(の車番が同じ車両)の高安山方に連結・もう片方が高安山駅付近にて留置という形で機能(連結・留置の役割は一定期間毎に入替)しています。

共に1957年以来ずっと鋼索線の上り下りに従事しているわけですが、コ7形の方は一定年数が経過する毎に車体の再塗装を行ってきたようで、近年は車体補修を機に外板の見た目を変化させています。同形2両が登場した時の車体は、戦後の生駒ケーブル宝山寺2号線復旧時(=コ3形登場時)に新規導入されたと思われる色使い(=奇数番車両:クリーム色とマルーン・偶数番車両:クリーム色とダークブルー)で塗装が行われており、1980年代中盤以降は、 信貴山とゆかりが深い寅をモチーフとした黄色基調の外装とされ、 その上で塗り分け・色調・貼付イラストなど、見た目に関する要素も少しずつ改められてきました。

〈河内山本/2021-07-25〉

近年実施の車体補修は、前回が2009年度後半に計17日間で行われていますが、あれから12年が経過した2021年度に再び実施される運びとなったようで、今年5月には、コ7形の車体補修に伴う西信貴ケーブル運転休止を案内する告知が出されています。

今回は、前回と違って2両を連続で工事する事なく夏休み期間を挟む2期体制で補修する計画とされており、ケーブル線の運休期間は1ヵ月2回の計2ヶ月で設定されました。


〈参考〉西信貴鋼索線の運休を告知する案内

西信貴ケーブル(信貴山口~高安山間)の運転休止について

(近畿日本鉄道株式会社/2021.05.19発表/PDF形式)

※見れない場合はこちら


さて、上記告知に記載されている通り、第1期工事に関しては、この〔雑記〕を書いている時点で既に完了しており、間もなく再度運休となって第2期工事が始まろうとしています。6月中旬に始まった第1期工事では、コ7形C#7を対象とした車体補修が実施され、7月中旬には信貴山口駅改札側に張られていた囲いも取られて補修完了後の姿を現しました。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口/2021-07-25〉

車体補修完了後のコ7形C#7は、第1期運休明けの7月17日(土)より営業に復帰。外板塗装は、従来の黄色基調が改められて登場時と同じになりました。今回の塗装変更は、元々纏っていた見た目の塗り分けを再び同じ車両が纏ったという点からすれば、登場40周年を機に塗装変更が行われた900系や宝山寺線開業95周年を機に外装が改められた生駒ケーブルのコ3形と同様、「復刻塗装」というより「復元塗装」という扱いになるのかなと思います。

C#7の塗り替えられた姿が最初に広く話題となったのは、恐らく第1期運休明け直前の7月上旬で、私はTwitterのTLで今回の塗装変更を認知しました。運休明け後、C#8は前回の車体補修が完了した2009年末からの姿を維持して活躍しているものの、こちらも第2期の車体補修工事で復元塗装化される事が予想されます。

〈信貴山口/2021-07-25〉

1980年代中盤から長らく続いていた黄色基調の外観も2021年度の車体補修完了で一旦お終いになる可能性が高まっている一方、私自身は今まで西信貴ケーブルの車両を大して記録していませんでした。なので、先日に再運休前の西信貴ケーブルを訪問し、復元塗装化されたC#7の車体も見てきました。

以下、先日の車体補修工事で復元塗装化されたC#7の外観を中心に訪問時の様子をざっと紹介して今回の〔雑記〕を締め括ります。


当日はケーブル線下側の駅である信貴山口とその周辺をぶらつき。週末フリーパスを持っていたので気軽く高安山まで行く事も可能でしたが、時間の都合上、割愛しました。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口/2021-07-25〉

信貴山口到着時にケーブル線のホームに居たのはC#8でした。コ7形には、それぞれに名前があり、車両登場時点でC#7には「瑞雲(ずいうん)」・C#8には「祥雲(しょううん)」の名が付されました。現在のC#8の名前は、正面向かって右側に青色背景白文字で記載されていますが、これは当初の車体色(=クリーム色とダークブルー)を反映しての事と思われます。

訪問時点の西信貴ケーブルは、C#7「瑞雲」が復元塗装で車体補修済・C#8「祥雲」が2009年からの塗装で車体補修前という状況でしたが、既にC#7のリニューアル完了を告知する案内が信貴山口駅構内各所に貼付されており、併せて記念グッズとなりうる硬券入場券2枚を収める台紙をプレゼントする案内もされていました。このプレゼント台紙は、「祥雲」が車体補修される前の写真が用いられているので、あくまでも「瑞雲」のリニューアル記念で製作されたものと思われます。台紙記載文からも察するに、「祥雲」の車体補修完了後は、また別のプレゼント台紙が製作・頒布される予定となっているのかもしれません。

〈信貴山口付近/2021-07-25〉
〈信貴山口付近/2021-07-25〉

現在の西信貴ケーブルは始発帯を除いて日中40分毎の運行なので、駅に到着してからのケーブルはしばらく開扉しての停車状態が続きます。訪問時は、次の発車時刻まで少し時間があったので、まずは内外装を少しばかり観察。その後、改札を出て高安山方へ向かって少し散策してみました。全国的に珍しいと言われるケーブルカーの踏切も、西信貴鋼索線には信貴山口から少し歩いたところに2か所(=信貴山口第1号&第2号踏切)存在しています。

〈高安山-信貴山口/2021-07-25〉
〈高安山-信貴山口/2021-07-25〉

ケーブルの発車時間になると、線路中央のロープがカラカラと音を立てて動き出しました。私の方は、とりあえず信貴山口付近でケーブルカーが撮れそうな場所を探し、先ずは信貴山口から高安山へ上がる「祥雲」を記録。この時は、コニ7形C#8が高安山方に連結されていました。こちらは昨秋から連結状態が継続しているようですが、「祥雲」の方は間もなく車体補修に入るわけですし、補修前後に高安山で待機している同形C#7と入れ替わる形で解結されるのかどうかは気になる所です。

〈高安山-信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口付近/2021-07-25〉

「祥雲」が高安山方へ上がってから数分後、今度は信貴山口方へ向かう「瑞雲」が下って来ました。先述した通り、こちらは第1期の車体補修を終えて復帰したばかりで、補修時の塗り替えで登場当初の車体色(=クリーム色とマルーン)が復活しています。下に降りて来た「瑞雲」を記録した後は、車体補修後の内外装を見るべく、再び信貴山口に戻りました。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口/2021-07-25〉

現在の西信貴ケーブルは、第1期工事と第2期工事の中休み期間であるので、信貴山口駅では引き続きケーブルの運休案内が掲示されており、加えて車体補修を終えた「瑞雲」とそれを告知する案内も一緒に見る事が出来ます。

ちなみに、改札側から向かって右側にあるケーブル線の降車専用ホームは、正月等を除く通常時は使われる事なく閉鎖されていますが、現在は区画封鎖した上で車体補修に関連した資材置き場として使われている模様です。私が訪問した時点では、改札寄りの黄色ロープの他、乗降場所付近にカラーコーンが置かれて二重に封鎖されていました。第1期工事が行われていた際は、線路末端付近にて乗降別2ホームに渡る布幕が張られていましたが、第2期工事でも車体補修完了直前までは同様の措置が採られるものと思われます。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口付近/2021-07-25〉

車体補修完了かつ復元塗装化後の「瑞雲」両正面は↑のような見た目です。1957年の登場時に纏った塗り分けが60年以上経った令和になって復活したわけですが、登場時の外装そのままというわけでも当然ありません。これまでに変化した要素や今回新たに加えられた要素が合わさって現在の復元塗装外観となっています。以下、黄色基調となる前の外装と比較する形で車体補修後のC#7において個人的に着目出来た外観要素を軽く3点紹介します。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈高安山-信貴山口/2021-07-25〉

まずは、C#7に付された名前である「瑞雲」の車体表記です。今回の補修完了後では、正面向かって右側のクリーム色部分にマルーン色で文字が表記されていますが、黄色塗装化前までは正面向かって左側のマルーン色部分にクリーム色で文字が表記されていました。文字の書体・大きさに関しても、黄色塗装化前はイラストチックかつ小さめです。表記が平仮名である点に関しては、登場時から一貫しています。また、かつては側面へ回り込むマルーン色の細帯内にも表記があったようですが、現時点の復元塗装では採り入れられていません。

〈信貴山口付近/2021-07-25〉
〈信貴山口/2021-07-25〉

続いて正面向かって左側窓下の器具です。これは、黄色塗装時にも無かったもので、今回の車体補修で新たに加えられました。見た目からして、運行標識板を掲げるための補助器具といった様子です。「瑞雲」文字の車体表記が正面向かって右側窓下に移されたのは、黄色塗装時代の表記位置が踏襲されたという事の他にも、この器具の新設が関連している(=車両名を示す文字と標識板の文字情報が近い範囲で共存するのを防ぐ?)のかもしれません。信貴山の沿線にあたる信貴線や生駒線では、ここ数年の「信貴山寅まつり」開催時に特製HMを掲げる事が常となっていますが、復元塗装化されたコ7形も同様にHMを掲げる事になるのかは気になる所です。

ちなみに、フロントガラスの窓枠やHゴムの色に関しては、黄色基調時代と同じで枠が銀色・ゴムが灰色です。これらは、登場当初だと枠が(車体色と同じ)クリーム色・ゴムが黒色で、1980年代に入ってから共に現行と同色の仕様に改められた模様(=1981年度下半期以降/交換時期不明)。C#7は遅くとも1985年度には黄色基調の車体色(=第2代塗装:上半部アイボリー&下半部イエロー/変更時期不明)へと改められているので、過去においてクリーム色とマルーン色の車体色で銀色枠と灰色ゴムを装備した期間は1980年代前半の数年だった事になります。フロントガラスの上にある展望窓のHゴムに関しては、一貫して黒色です。

〈信貴山口/2021-07-25〉
〈信貴山口/2021-07-25〉

最後はフロントガラス直上の軒樋(雨樋)です。 こちらも黄色塗装時には無かったもので、今回の車体補修で新設されました。 コ7形は、生駒ケーブルのコ3形と違ってフロントガラスの開閉が可能な仕様となっているので、今回の補修を機に窓枠周辺部の腐食進行防止を目的として設置されたものと思われます。追設された器具の色は、追設箇所の周辺色に準ずる形でクリーム色です。

近鉄車両に対する軒樋の設置は、大型車両だと側面側扉直上に対して1990年代後半から2000年代にかけて急速に推し進められた過去がありますが、大半の車両で完了した近年に行われる事は稀となっており、今回の追設は2018年1月実施の検査・お色直し時に乗務員扉直上へ設置されたモト90形(C#97-98)以来ではないかと思います。

〈信貴山口/2021-07-25〉 ※C#7
〈信貴山口/2021-07-25〉 ※C#7
〈信貴山口/2021-07-25〉 ※C#7

他、内装に関しては、今回の補修前後で特に大きく手は加えられていない様子でした。黄色塗装化前のシートモケット色は、当時の大型一般車両と同様のマルーン色だったようですが、こちらは1990年代に現在の色調のものに張り替えられた模様。恐らく、第2代塗装から第3代塗装へと変更する際(=1997年度?)に併せてモケット変更も行われたのではないかと思います。以降、モケットに対する緑と黄色の色使いはC#7とC#8とで上下(=乗務員用椅子)・左右(=乗客用椅子)反対とされていますが、この点も今補修では変化無しでした。

〈信貴山口/2021-07-25〉 ※C#7
〈信貴山口/2021-07-25〉 ※C#7

蛇足でもう一つ言うと、コ7形は現行近鉄では珍しく日立製(笠戸)の車体を持つ車両で、車外には形式銘板の他に「日立製作所」と記載された製造銘板も取り付けられています。共に今回の復元塗装化で従前の黄色単色からマルーン単色に塗り替えられました。

〈信貴山下駅付近/2020-05-28〉
〈宝山寺/2018-08-29〉
※生駒ケーブル100周年記念展示

ちなみに、近鉄のケーブルカーで近畿車輛(←田中車輛)以外のメーカーが関わった車両としては、かつての東信貴ケーブルのコ9形や生駒ケーブルのコ3形・コ5形が挙げられます。

前者は、車両部門を有していた頃の藤永田造船所製で、車体も同所で製造された模様。路線自体は1983年度に廃止されたものの、残された2車両の内、C#9は保存される事となり、2021年現在はかつての発着駅である信貴山下駅前にて常設展示されています。後者2形式に関しては、車体製造の方は近畿車輛が担当したようで製造銘板も「近畿車輛」と記載されたものが取り付けられていますが、日立評論1954年1月号(Vol.36-No.01/P348)を見た限りだと、設計には日立が関わっていた模様。コ15形の導入と入れ替わる形で廃車となったコ5形には、「日立製作所」と記載された銘板が存在(取付場所は不明)したようで、こちらは現在も残されています。現存するコ3形やコ9形の(近畿車輛以外の)銘板は未確認ですが、共に車内外を見学する機会は開かれているので、別の機会に観察してみようと思えます。


〈高安山-信貴山口/2021-07-25〉

ある程度C#7を観察し終えた後は、そのまま信貴山口を後にして帰宅。久しぶりにケーブルカーを観察する事が出来て満足でした。西信貴ケーブル自体は、親類縁者のお墓参りに関連して乗車した事はあるのですが、長らく利用機会がないままなので、次は時間を作ってちゃんと上まで乗りに行こうと思います。

7月中旬から続く車体補修工事の中休み期間に関しては、7月17日(土)からお盆明けの8月16日(月)までです。以降は、引き続きC#8「祥雲」の車体補修が行われるものと思われますが、補修完了後の姿は楽しみですね。補修が完了したC#7の復元塗装化自体は、あまり外に向けてPRされておらず、現状では地味な話題となってしまっている様子が否めないものの、今の流れで考えるとC#8もC#7と同様に登場時の塗装を復元した外装に変化する事が安易に予想できますし、運休明けにはまた訪問したいと思えます。

今回の〔雑記〕は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。