ピロのブログVer3

Ver2の続きです

近鉄一般車 メモ

〈メモ〉近鉄1026系-車両間の中間連結器

こんばんは

今回の覚え書き内容は表題の通りです。

車両をよく観察している人や鉄道模型を趣味でやっている人にとっては度々気付かされる事かもしれませんが、近鉄各線で現役中の各系列・形式には、他車と比較した時の内外装の見た目で似ていたり違ったりする細かな要素が様々にあります。

車両ごとの共通点や差異は、現在に至るまで多様に見つける事が可能です。差異に関しては、他系列間のみならず同一形式間でも色々と存在しています。この違いの発生要因は、車種の違いであったり後の改造によるものであったりと様々あるように思いますが、今回は前者にあたる例として、一般車1026系の中間連結器についてメモしておく事にしました。


■ 第22〈メモ〉

●近鉄1026系-車両間の中間連結器

1026系は、奈良・京都線系統の長編成車として1993年度に登場した系列です。同系統線区の長編成車である1020系と違って、6両固定編成が製作された点やボルスタレス台車を履いている点が特徴として挙げられます。登場以来、京都・奈良線系統で活躍を続けており、後に4両編成の一部が生駒線での都市型ワンマン運転に対応する改造・6両編成が阪神線内への直通運転に対応する改造を施されました。

現在、4両編成と6両編成の2種が存在する1026系ですが、各車の中間連結器に関しては、いずれも登場時に装着していた機種が維持されています。今回の〈メモ〉では、現時点での状況をまとめておく事にしました。

※C#1132-1082(公式側)
※C#1082-1182(公式側)
※C#1182-1032(公式側)

まずは4両編成です。2021年8月時点で1026系4両編成車として在籍しているのは1031Fから1035Fの5本で、1035Fを除く4本は生駒線でのワンマン運転対応車です。登場時は、他に1026Fや1030Fも4両編成車として存在していましたが、これら2本は2001年度実施の車両組み換えで元の編成が解かれました(後述)。

この4両編成車は、編成内で母線や補助電源の引き通しが行われており、電気的な繋がりに関しては、編成全体で1ユニットとなっています。通常であれば他編成との車両組み換えはまず無く、編成をばらす機会も工場入場時以外は存在しない事を反映してか、各車の中間連結器は、当初より全て三管式半永久連結器(=[CSE-80])とされました。この形態が最初に採られたのは奈良線系統の一般車8800系で、以降、一般車だと8810系や1020系・特急車だと12600系12602F(→第13〈メモ〉参照)や22000系が同様の構成となっています。

〈鶴橋/2015-12-16〉
〈石切-額田/2017-05-04〉

続いて6両編成です。2021年8月時点で1026系6両編成車として在籍しているのは1026Fから1029Fの4本で、現在は全編成が阪神線内への直通運転対応車となっています。当初の6両編成車は、1027Fから1029Fの3本のみでしたが、6両需要の増加に対応する形なのか、2001年度に従来まで4連だった1026Fが6連化されました。

この6連化に際して中間に組み込む2両は、当時4連だった1030Fから確保しており、先頭車のみとなった1030Fは1252系へと編入(=当該車両の系列・形式・車番を変更)されて同系1277Fとなっています。1030Fから離脱した中間車に関しても、1026Fへの組み込みに当たっては形式と車番が改められており、この時の車両組み換えによって現行1026系で1030Fとなりうる番号は車籍から消滅しました。

※C#1126-1096(公式側)
※C#1196-1076(公式側)
※編成・車番失念
※C#1098-1198(公式側)

編成内各車の中間連結器に関しては、 4両で竣工した編成が全車を半永久連結器で繋ぐ構成とされた一方、6両で竣工した編成には、分割部が設定されて密着連結器が併用されています。具体的には、モ1096形とサ1196形の連結部を密着連結器(=[CSD-90])・他は三管式半永久連結器(=[CSE-80])で繋ぐという形となっており、これは現在まで不変です。編成内の電気的な繋がりに関しては、当時の母線引き通し事情(=パンタ間隔30m以内)を反映して、このモ1096形とサ1196形を境に分ける2ユニット構成(=大阪方4両はモ1026形とモ1076形との間で母線引き通し/奈良方2両はモ1096形にパンタ2基搭載)とされています。

分割部設定の背景としては、各編成が竣工した当時の車庫内における入替事情(=車輪転削場やピット線の入線容量?)が反映された事が考えられ、奈良線系統でこれが解消されたと思われる後に登場した5820系(奈良線系統)や9820系は、6両全車が半永久連結器繋ぎで竣工しました。また、密連付きでの分割を可能としたモ1096形とサ1196形の連結部妻面には当初より構内入替灯(と簡易運転台)が常設され、後発の5800系にも同仕様が引き継がれていますが、上記事情が解消される辺りの時期に竣工する事になったと思われる5803F以降(奈良線系統)では、構内入替灯が省略されるようになりました(簡易運転台は準備工事のみ)。密着連結器の方は、同系他車との機能面の統一が意識された故か、継続して採られています。

※C#1096-1196(公式側)
※C#1196-1096(非公式側)

さて、現状の1026系6両編成車には、当初からの6連(1027F-1029F)と後作りの6連(1026F)が存在するわけですが、中間連結器に関しては、各車の登場時点から変化はありません。すなわち、当初からモ1096形・サ1196形として竣工した車両群は両形式連結部を密着連結器(=[CSD-90])・後からモ1096形・サ1196形へ編入された現C#1096およびC#1196は編入前と変化なく三管式半永久連結器(=[CSE-80])としています。

1026Fで他編成の分割部にあたる箇所の連結器が密着連結器に変更されなかった理由としては、「先述した車庫内における入替事情が既に解消されていて6両全車を半永久連結器繋ぎとする編成も登場していた事から改造の必要性が認識されなかったため」と考えるのが妥当なのではないかと思いますが、実情は不明です。構内入替灯(や簡易運転台およびブレーキ変換装置)に関しても、編入時点では追設の必要が無いと判断されたのか、C#1096およびC#1196には存在しません。

※C#1096(1位寄り)
※C#1096(2位寄り)
※C#1277(1位寄り)

一方で、電気的な繋がりに関しては、他の6両編成車と同仕様に変更されています。すなわち、元1030Fのパンタ付き車両(=C#1080[M]&C#1030[Mc])は、1026Fへの編入&1277F化に際して1030F時代に行っていた母線引き通しが止められ、各車の搭載パンタ数も[1基→2基]化されました。屋上のヒューズボックス数(と妻面へ降りる配管数)については変更されておらず、現C#1277はモ1252形の中でも独特の屋根上外観となっています。

ちなみに、この変更時には屋根上の「母線引通し車」の札も撤去されたようで、この撤去跡は、現在も目視での確認が可能です。C#1096に関しては、1030F-C#1080時代だと、この札と「パンタ注意」の2枚が貼られていたため、現在の2位寄りにおける「パンタ注意」札の取付位置も他のモ1096形とは異なっています。似たような状況は、過去の3200系モ3800形でも見られたのではないかと思いますが、恐らく車体更新時に位置を変更したのか、現在は他系列の同等車と同じ見た目です。もしかしたら、元1030Fの車両群に対しても、今後どこかの時期に改造前までの痕跡を失う機会が訪れるのかもしれません。


〈参考〉1026系各編成の中間連結器(2021.08時点)

※←近鉄奈良・橿原神宮前 (編成) 京都・大阪難波→

※[-]=三管式半永久連結器(=CSE-80)/[+]=密着連結器(=CSD-90)

【4両編成車】

1031F:C#1131[Tc]C#1081[M]C#1181[T]C#1031[Mc]

1032F:C#1132[Tc]C#1082[M]C#1182[T]C#1032[Mc]

1033F:C#1133[Tc]C#1083[M]C#1183[T]C#1033[Mc]

1034F:C#1134[Tc]C#1084[M]C#1184[T]C#1034[Mc]

1035F:C#1135[Tc]C#1085[M]C#1185[T]C#1035[Mc]

※かつての1026F・1030F各車も同様の繋ぎ方

※1030Fは1026Fの6連化で編成を解き、各車両の形式・車番を変更/中間連結器種は現時点まで変化無し

-先頭車は1252系化され所属系列も変更(→1277F化)/中間車は1026Fへと編入(→1026Fは6連化)

-1277F:C#1377[Tc]C#1277[Mc]

※1031F-1034Fは生駒線ワンマン運転対応車化、各車両の系列・形式・車番変更は未実施

【6両編成車】

1026F:C#1126[Tc]C#1096[M]C#1196[T]C#1076[M]C#1176[T]C#1026[Mc]

1027F:C#1127[Tc]C#1097[M]C#1197[T]C#1077[M]C#1177[T]C#1027[Mc]

1028F:C#1128[Tc]C#1098[M]C#1198[T]C#1078[M]C#1178[T]C#1028[Mc]

1029F:C#1129[Tc]C#1099[M]C#1199[T]C#1079[M]C#1179[T]C#1029[Mc]

※モ1096形およびサ1196形は両形式の連結面寄りに簡易運転台を設置(C#1096およびC#1196は除く)

※1026Fは2001年度に1030Fの中間車を組み込んで[4連→6連]化

※1026F-1029Fは阪神線直通運転対応車化、各車両の系列・形式・車番変更は未実施



今回の〈メモ〉は、車両間の中間連結器をテーマに1026系へ焦点を当てた内容でした。やや細かい要素への着眼になったかもしれませんが、こうした内容を(出来れば実車への観察を交えて)部分的にでも〈メモ〉として残しておく事自体は、車両に関して情報の参照や振り返りを行う際に少しばかり有意義になるのではないかと思えます。過去の自分の着眼点や気になっていた事を後から見直す事が出来るという点でも書き残しておいて損はないような気はしますし、今後も興味を持てた話題があれば〈メモ〉で取り上げていこうと思います。

今回の〈メモ〉は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。