ピロのブログVer3

Ver2の続きです

近鉄特急車 メモ

〈メモ〉近鉄16000系-屋根上のクーラーキセ外観

こんばんは

今回の覚え書き内容は表題の通りです。

車両をよく観察している人や鉄道模型を趣味でやっている人にとっては度々気付かされる事かもしれませんが、近鉄各線で現役中の各系列・形式には、他車と比較した時の内外装の見た目で似ていたり違ったりする細かな要素が様々にあります。

車両ごとの共通点や差異は、現在に至るまで多様に見つける事が可能です。差異に関しては、他系列間のみならず同一形式間でも色々と存在しています。この違いの発生要因は、車種の違いであったり後の改造によるものであったりと様々あるように思いますが、今回は後者にあたる例として、特急車16000系のクーラーキセ(クーラーカバー)外観についてメモしておく事にしました。


■ 第23〈メモ〉

●近鉄16000系-屋根上のクーラーキセ外観

16000系は、南大阪線系統の特急車として1965年度に登場した系列で、近鉄狭軌線区だと初の新製特急専用車です。狭軌線特急車の増備は、1980年度に改良系列の16010系が登場するまで16000系の製造で行われており、全部で9編成20両が竣工しています。但し、その製作は特急需要の増加に併せて少しずつ実施されてきたため、第1編成と第9編成の落成年月には約12年の開きがあり、その後の各編成の車体更新内容も工事の施行時期によって差が発生しました。

車体更新内容は、結果的には1960年代年度に竣工した編成と1970年代年度に竣工した編成とで分かれ、前者の編成群は16400系「ACE」の登場以降で順次代替・後者の編成群は2回目の車体更新や新塗装化が実施されて2021年8月現在も活躍中です。前者の内、第1編成から第3編成までは廃車後に大井川鐵道へ売却されていますが、第1編成と第2編成は老朽化の進行で既に営業から離脱して廃車となっており、現在は譲渡が一番遅かった第3編成のみ営業を続けています。

〈岡寺-橿原神宮前/2020-07-30〉※16007F/16009F
〈金谷-新金谷/2019-12-07〉※16002F/16003F

現時点での16000系の在籍両数は、2両編成2本(16007F&16009F)と4両編成1本(16008F/M車基準で細かく見るなら16008F=[16008F+16051F])の計8両です。これに大井川鐵道の車両を加えるなら、全体で計10両が現役中という事になりますが、それぞれの内外装各部分を比較して見ると、様々な差異の存在に気づかされます。

今回の〈メモ〉では、同系の車体屋上にあるクーラーキセ(クーラーカバー)外観に着目し、現状をまとめておく事にしました。


〈浮孔-坊城/2018-02-22〉
〈橿原神宮前/2019-09-23〉

結びから言えば、現行近鉄16000系が備えるクーラーキセは、外観上の違いで2種に大別する事が可能です。キセの形状自体は共通しているのですが、側面にある金属メッシュの大きさが異なっており、1つは大形・もう1つは小形となっています(以下、側面の金属メッシュが大きいクーラーキセを「(メッシュ)大形タイプ」・小さいクーラーキセを「(メッシュ)小形タイプ」と呼称)。

※上段:C#16107[Tc]/下段:C#16109[Tc]

2021年8月時点において、大形タイプは16007F各車・小形タイプは16008F(4両固定)および16009F各車に搭載されており、過去含めた全体から見ても大形タイプは少数派です。以下、[大形タイプ→小形タイプ]の順で各クーラーキセの近接外観を紹介し、現在までの外観上の変遷についても軽く触れる事にします。


※C#16007[Mc]
※C#16007[Mc]
※C#16007[Mc]

まず大形タイプですが、こちらの側面メッシュ部分を拡大して見てみると、その様子は奥行きの有無で2分類する事が可能です。すなわち、 メッシュの上半分側はクーラー機器へ直接通じているためか孔に奥行きがあり、同下半分側はクーラー機器を覆う枠(キセのはめ込み枠?)と思しき鉄板がメッシュに隣接していて奥行きがありません。メッシュを通じて空調機器と連動した換気の役割を果たしているのは、専ら上半分側であるように見えます。

※C#16151[T]
※C#16109[Tc]
※C#16109[Tc]

続いて小形タイプです。車体正面側にある孔のメッシュ形状は大形タイプと同じであり、見た所では、大形タイプのメッシュ下半分で見えていた枠部分前のメッシュを省略したのが、この小形タイプなのではないかと思います。クーラーキセの全体形状に関しては、大形タイプ・小形タイプで共通している様子です。


さて、以上が現在も近鉄で活躍中の16000系が搭載するクーラーキセ外観ですが、16000系登場時に採用されたクーラーキセの外観と比較するなら、いずれも換気孔に金属メッシュを用いている点が大きな特徴として挙げられます。このメッシュ式クーラーキセが16000系で初めて採られたのは、16007Fが車体更新(1回目/A更新)を受けた1994年度でした。

〈千頭/2019-12-07〉※C#16003[Mc]
〈千頭/2019-12-07〉※16003F
〈橿原神宮前/2009-05-03〉※16005F

1994年度以前に車体更新を受けた編成(=16001F-16006F)に関しては、16000系登場時点で採用されたスリット式換気孔持ちのクーラーキセが工事完了後も継続して載せられており、逆に同年度以降に車体更新を受けた編成(16008F&16009F)は、16007Fと同様にメッシュ式換気孔持ちのクーラーキセへと変更されました。なので、上述したメッシュ式クーラーキセの登場順に関しては、[大形タイプ→小形タイプ]となります。

但し、上述した通り、大形タイプは16007Fのみの採用で以降は小形タイプとなりました。側面のメッシュが大形から小形へと変更された理由は不明ですが、個人的には「開口部の小形化が改良点として認識され以降に反映された」辺りが有力なのではないかと思います。他、車体更新を実施した場所(=16007F:古市/それ以外:五位堂)によって違いが出たという可能性もありそうですが、詳しい事は分かりません。

〈千頭/2019-12-07〉※C#16003[Mc]
〈金谷-新金谷/2019-12-07〉※C#16002[Mc]

ちなみに、蛇足になりますが、大形タイプのメッシュ下半分側に見えていた枠に関しては、現存するスリット式換気孔持ちのクーラーキセ(=原形キセ)を見た限りだと、車体更新時に追設されたものと思われます。実際、原形キセを横側から見た際のスリット下半分側は一程度の奥行きが確認出来ますし、キセが外された状態を見ても、キセと隣接する空調装置の設置区画端は[ >]形状となっていて、大形タイプで確認できた平形状とは異なる外観です。


今回の〈メモ〉は、屋根上機器の外観をテーマに16000系へ焦点を当てた内容でした。やや細かい要素への着眼になったかもしれませんが、こうした内容を(出来れば実車への観察を交えて)部分的にでも〈メモ〉として残しておく事自体は、車両に関して情報の参照や振り返りを行う際に少しばかり有意義になるのではないかと思えます。過去の自分の着眼点や気になっていた事を後から見直す事が出来るという点でも書き残しておいて損はないような気はしますし、今後も興味を持てた話題があれば〈メモ〉で取り上げていこうと思います。

今回の〈メモ〉は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。