■記事概要
2020年3月14日(土) から運行を開始した新型名阪特急80000系「ひのとり」ですが、その後も着々と増備が進められています。2020年12月時点では、搬入された10編成の内、既に9編成が名阪間を中心とする営業列車へ就いており、導入予定とされる11編成が揃う状況も目前となりました。
今回の記事では、80000系「ひのとり」の営業開始前後から最近までで目立つと思えた動きを各時期別でざっと紹介します。
■記事本文
こんばんは
今回取り上げるのは、近鉄電車。紹介する話題は、特急車80000系「ひのとり」に関するものです。
2020年3月14日(土)より通常営業を開始した80000系「ひのとり」ですが、あれから9か月少し経ち、当初3本体制だった稼働状況は、現在9本体制となりました。
車内滞在時の快適性を重視した名阪特急の新しいスタイルは、2020年度の『グッドデザイン・ベスト100』に「ひのとり」が選定される一因となった事などを鑑みると、利用客ほか客観的・専門的な視点からしても高評価を得ているように見えます。
ちなみに、つい先日には、鉄道模型メーカーのTOMIXから1/150スケール(=Nゲージ)で模型化された製品が販売開始となりました。現況としては、メーカー側は既に完売・卸問屋や割引販売を行うネットショップも売り切れ多数という様子になっている模様。製品化模型の造形や表現の良さはさることながら、ベースとなった実車外装の方も一程度以上の人気がある事が伺えます。
さて、現在の80000系は、名阪間輸送を主に担う近鉄の新しい特急車両として沿線内外に少しずつ定着してきた様子があるわけですが、2020年12月時点では10編成が近鉄の工場へ搬入済状態となり、2020年度までに製造予定とされた11編成が揃うのも目前の状況となりました。未搬入の残り1編成も翌2021年に入ってしばらくすれば搬入される事が予想されます。
今年もあと僅かとなりましたが、同系にとっての2020年は、コロナ禍で粛々とした中でのお披露目・営業開始から『グッドデザイン・ベスト100』の受賞や近鉄初となる8両固定編成の登場を経てNスケールでの模型化・販売と、様々な出来事があった年でした。そうした出来事の振り返りも兼ねて、今回の記事では、2020年の「ひのとり」営業開始前後以降、現在までで個人的に目立つと思えた80000系関連の動きを各時期別でざっと取り上げる事にします。
2019年度後半期における[第1編成の搬入-営業開始前(=有料試乗会実施まで)]の様子については、以前の記事でざっと取り上げています。今記事で取り上げていない営業開始前までの動きについても関心ある方は、そちらも参考としてご笑覧いただければと思います。
第19記事目 目次
1:2月中旬-3月
-〔参考資料1〕「ひのとり」1番列車の指定席販売に関する報道記事
2:4月-9月
-〔参考資料2〕土休日ダイヤに運行する一部特急列車の運休告知(5月)
-〔参考資料3〕「ひのとり」の増便および営業編成追加を告知するプレス(6月)
-〔参考資料4〕「ひのとり」試乗会の開催延期案内(2月)および報道記事
3:10月-12月
-〔参考資料5〕「ひのとり」の増便および営業編成追加を告知するプレス(11月)
[内容追加(2021.01.08)]
-〔参考資料6〕名阪甲特急全列車への「ひのとり」充当を告知するプレス(2021年1月)
4:おわりに
5:リンク集
では、記事内容に移ります。
※ 以下、特記以外は高安検修場周辺 (敷地外) にて撮影
以前の記事では、各線区での試運転に供されていた80000系各編成が一般向け有料試乗会列車に充当された時点まで取り上げているので、この項目では試乗会イベント終了後(=2020.02.11~)から3月までの2019年度内で着目できた動きをざっと紹介します。
有料試乗会終了後の各編成は、入庫した車庫のある圏域で引き続き試運転に供された模様。名古屋発着(2日目)の試乗列車に充当された80101Fは名古屋線で、大阪発着の試乗列車に充当された80103Fは奈良線で試運転が実施されていました。なお、試乗会初日に名古屋発着の試乗列車に充当された80102Fは、五位堂検修車庫に一旦入場し、出場後は引き続き大阪線で試運転が行われています。
この時の試運転は、各線区を跨ぐ長距離運転でなく、各線区内で中短距離を一日に複数回往復する方式で行われていました。各線区内における最長の運転区間は、名古屋線だと[富吉-塩浜]間、奈良線だと[八戸ノ里-大和西大寺]間、大阪線だと[高安-名張]間だったように思います。
私自身は、奈良線内での試運転を目にしたのですが、比較的短い区間を日に数往復する事もあって、駅の列車案内に同列車の「試運転」表示が連続して表示されていたり、営業後は見る事がなさそうな光景を記録する機会が何度もあったりと、なかなか珍しいと思える場面を色々と見る事が出来ました。
各線区での試運転が続く一方、2月15日(土)・16日(日)には、無料かつ抽選制の「ひのとり」お披露目会・有料かつ定員制の「ひのとり」撮影会が催行されました。五位堂検修車庫で開催された前者の展示には奈良線で試運転を行っていた80103Fが、青山町車庫にて開催された後者の展示には、80101Fから80103Fまでの当時稼働していた全編成が展示されています。天気の方は両日とも生憎の様子でしたが、「ひのとり」デビュー前におけるお披露目イベントとしては有料試乗会に続く第2弾という事もあって、両方とも人気だったように思います。
他、「ひのとり」通常営業開始1か月前となる2月14日(金)からは、プレミアムシートおよびレギュラーシートの指定席券が販売開始となりました。各駅始発の1番列車に関しては人気が高かったようで、報道によれば、プレミアムシートは販売後1分・レギュラーシートは販売後16分で完売となった模様。当日運行だった他の「ひのとり」充当列車の座席に関しても人気度は高く、特に名阪間列車のプレミアムシートはすぐに完売状態となったようです。
〔参考資料1〕「ひのとり」1番列車の指定席販売に関する報道記事
(讀賣新聞オンライン-2020.02.15-06:00配信記事/2020年12月29日閲覧)
16日(日)の有料撮影会終了後の各編成は、それぞれ試運転実施線区がある検車区まで戻っており、80101Fが西大寺車庫・80102Fが富吉車庫・80103Fが高安車庫へと回送されています。その後は、奈良・名古屋・大阪の各線区で試運転が再開。以降、各編成の大まかな動きとしては、80101Fが関西地区で試運転&滞在・80102Fが営業開始まで名古屋線区で試運転&滞在・80103Fが2月24日(月)から営業開始直前まで名古屋線区へ移り試運転&滞在という様子でした。
2月の他の出来事としては、近鉄80000系の詳細が各鉄道雑誌の記事で紹介された事や同系第5編成にあたる80111Fが高安車庫へ搬入された事などがありました。三菱製制御装置搭載編成と日立製制御装置搭載編成・6両編成と8両編成で各編成構成車の車両番号末2桁が異なる事や8両固定編成における中間運転台付き車両の顔付きが一般向けに明らかとなったのもこの時であり、同月は「ひのとり」車両について知る機会が少しずつ充実してきた月だったように思います。
続いて3月ですが、上旬2日(月)より第4編成である80104Fの日中試運転が始まりました。他の編成と同様、当初は大阪線内で走り込みが行われており、最長で[大阪上本町-東青山]間を走破しています。他の編成の動向に関しては、80102Fおよび80103Fが引き続き名古屋線内で試運転を継続、80101Fが高安車庫内での留置継続といった様子でした。
「ひのとり」運用開始直前の中旬になると、営業初列車の充当に向けて2編成が滞在場所を移しており、80101Fが東花園車庫・80103Fが高安車庫へと回送。他の2編成に関しては試運転を継続しており、80102Fが名古屋線(富吉拠点)・80104Fが大阪線(高安拠点)で運行されています。
営業初日となった14日(土)には、名阪間「ひのとり」の各列車始発駅にあたる大阪難波・近鉄名古屋の両駅でデビューを記念した出発式が催行されました。「ひのとり」の始発駅としては、他に近鉄奈良もありますが、こちらは特に何事も無く阪奈間1番列車が出発しています。
各駅始発の「ひのとり」1番列車充当編成に関しては、大阪難波発が80103F(高安出庫→008レ)・近鉄名古屋発が80102F(富吉出庫→758レ)・近鉄奈良発が80101F(東花園出庫→816レ)でした。「ひのとり」運転開始と共に営業に就いたのは上記の3編成で、14日以降、平日・土休日共に名阪間6往復と阪奈間1往復の運用を受け持つようになっています。走り込みが始まって間もない80104Fに関しては、一程度の試運転終了後に高安車庫滞在となっており、3月中に営業列車へ投入される事はありませんでした。
この時の3本18両の営業投入により、80000系投入に伴う代替対象系列である12200系は、2020年初頭の2編成8両に続いて新たに6編成24両が運用離脱しています。
大阪難波・近鉄名古屋で行われた出発式の内容に関しては、コロナ禍の真っ只中という事もあってか、当初想定していた規模から簡易化を図った模様。実際、式典を彩る部材のセッティングはこれといって行われておらず、出発式のメインとも言える内容は、運転士・車掌らに対する花束贈呈に留められていました。
また、参加者および見物人は、大半の人がマスクを着用。私も見物に行った一人でしたが、報道関係者はもちろん、周りの人はほぼ全員マスクを着用していたと記憶しています。コロナウイルスの感染拡大防止が喫緊の課題と認識されて間もない頃だったので、人が集う場所へ外出する時は出来る限りマスクを着用といったような感覚は比較的薄く、この時は全員がマスクをして出発式に臨んでいる光景に大分と違和感を覚えたものですが、今やマスクを着用しての外出は日常の事となってしまいました。奨励から習慣化を経て一つの秩序が形成される過程を見た気分です。
ちなみに、車両の動きではありませんが、「ひのとり」のデビューに関連する話題として、名阪間列車の始発駅にあたる大阪難波・近鉄名古屋の両駅で照明の増設が行われたというものがあります。共に今年の1月に設置されたようです。
追設された照明は、周囲の天井照明と同色の白色系の他に暖色系の色も表現するLED照明で、タイミングから鑑みて出現当初より「ひのとり」関連と見る推測も多々ありました。実際その通りで、80000系が営業を開始した3月14日以降においては、「ひのとり」が発着する時に限って暖色の点灯が行われています。
照明は計3か所に設置されており、その内訳は、大阪難波が2か所(1番線:「ひのとり」6号車付近/2番線:「ひのとり」1号車付近)・近鉄名古屋が1か所(5番線:「ひのとり」1号車付近)です。
この切り替え照明の設置意図に関しては、近鉄から発行された広報誌『近鉄ニュース-2020年4月号』の「ひのとり」特集において、以下のように触れられていました。
「ひのとりトリビア④-地下ホームでも光り輝く車体。」
大阪難波駅、近鉄名古屋駅では、地下のホームでも地上の日光に照らされたように輝く「ひのとり」の勇姿を見ることができます。なぜなら、ホームに「ひのとり」を明るく照らし出すライトがあるから。大阪難波駅は1番・2番ホームの上本町方と三宮方(6両位置のみ)、近鉄名古屋駅は5番ホーム1号車側に設けられています。
『近鉄ニュース-2020年4月号』より引用
『近鉄ニュースー2020年4月号』掲載のコラムからは、この切り替え照明が「ひのとり」発着時の使用を想定したものであり、ホームに停車する「ひのとり」をカッコ良く見せるために設置した…という風に読む事が出来ます。
車両の映りを気にしている故なのか、「車両と一緒に写真を撮る」という乗客の行動とその写りを考えての事なのか、何にしてもこうした取り組みからは、「ひのとり」を重視する近鉄側の配慮が伺えます。
メリークリスマス🎄
— ひのとり【公式】|近畿日本鉄道 (@hinotori_80000) December 25, 2020
本日は「ひのとり」プレミアム車両の天井照明に隠された機能をご紹介します。
終着駅への到着が近づくとブルーに変化してお知らせする天井照明。
実は、、、フルカラーLEDなので様々な色の演出が可能です!
普段見ることのできない赤や緑のクリスマスカラーもいい感じ🎄 pic.twitter.com/3Lych6PvvU
「ひのとり」の駅発着を見越してデビューまでに用意された計らいは、駅照明の他にも「ひのとり」車内の照明や「ひのとり」出発時の発車メロディにも見られます。
前者には、列車発着駅が近付くと車内照明の色調が変化するという仕掛けがあり、プレミアムシート車は終着前に[暖色⇒青色]・レギュラーシート車は発着前後に[白色⇔暖色]へと照明色が変わります。
後者は、名阪間列車の始発駅である大阪難波と近鉄名古屋で「ひのとり」の発車を告知する専用音楽を流すために新調されたメロディで、『ひかりの鐘』という曲名が付けられています。
近鉄名古屋に関しては、既に名阪間特急の発車メロディとして『ドナウ川の漣』が存在していますが、今春ダイヤ変更以降、「ひのとり」使用の名阪特急に対しては『ひかりの鐘』を流すようになりました。そのため、来春に名阪甲特急が「ひのとり」で統一された後のこちらは、「アーバンライナー」使用の名阪乙特急でのみ流される事になりそうです。
一方、「しまかぜ」の『真珠』に続く発車メロディの導入となった大阪難波では、現状、「ひのとり」使用列車に対して一律に発車メロディを流す事にしているようで、名阪間以外に阪奈間運用の「ひのとり」でも『ひかりの鐘』が流されています。
※近鉄が特定系統列車や愛称付き列車に対して駅で流している発車メロディに関しては、近鉄HP内「発車メロディコレクション」にて公開されています。関心ある方はそちらも参考にどうぞ。
他、80000系の通常営業が始まった3月14日には、鉄道模型製造メーカーのTOMIXが早速「ひのとり」の製品化発表を行うという話題もありました。
「ひのとり」営業開始日と同日の製品化決定速報は、明らかに狙い撃ちの発表である事を伺わせましたが、その完成品模型は歳末商戦に合わせる形で先日に無事発売。製品化発表時には申請中だった商品化許諾も、製品販売時には近鉄側から承認された状態となっていました。販売された商品の方は、冒頭で触れた通り、メーカー品切れ・問屋品薄の人気状態となっているようで、再販や次の商品展開にも期待が膨らみます。
また、模型関連で言えば、今はNスケールが話題ですが、他にHOスケールやプラレールでも「ひのとり」の模型化が行われています。
前者は、実車通常営業前の2020年2月に開催された「うめきた鉄道フェスタ2020 inグランフロント大阪」の会場にて製品化発表された模様。メーカーは、金属製HOゲージ模型の製造/販売を手掛けるカツミです。
その後、キットは限定で9月に発売済・完成品は来年1月発売予定となりました。完成品の販売予定価格(税抜)は68万円と、Nスケール価格(税込)の30倍以上しますが、大きさがある分より実感的な模型として出回る事になりそうです。
後者は、第1編成搬入直後の2019年10月下旬に製品化予定の情報がTwitter上で出回り、今年1月下旬に正式な製品化発表があったと記憶しています。製品の発売は、実車の通常営業開始に合わせる形で3月19日(木)から行われており、一連のメーカー完成品模型としては最も早い段階で一般販売が行われました。なお、一部では先行発売も行われており、近鉄百貨店の本店および上本町店では、「ひのとり」営業開始に先駆けて3月8日(日)から数量限定で販売されています。
3月は、近鉄全体でみても80000系「ひのとり」の営業開始が最も目立つ車両の動きだったように思いますが、増備の方も最初の80101Fの搬入から1ヵ月1本ペースで進められており、同月中旬には第6編成にあたる80112Fが高安車庫へ搬入されました。
同編成は、前月に搬入された80111Fと同様、日立製制御機器を搭載した編成ですが、これらの日中試運転開始は5月まで待つ事となります。
続いて2020年度です。この項目では、同年度前半期にあたる4月から9月までの間で着目できた動きをざっと紹介します。
2020年度開始日にあたる4月1日時点において、搬入済となっていた80000系は計6編成です。内、第1-3編成にあたる80101F-80103Fは、「ひのとり」デビュー日の3月14日より営業列車へ投入されており、残りの80104F・80111F・80112Fの3編成は、この時点では運用に向けた整備もしくは運用待ちの段階にありました。
80104Fに関しては、上述の通り、3月上旬から本線での日中試運転が始まっています。同中旬時点では、高安車庫にて待機する姿が常だったように思いますが、4月に入って間もなく営業列車へ投入されました。
営業初日は4月6日(月)で、高安出庫の010レより運用開始。翌日には阪奈間運用にも就いています。以降、6月中旬までの「ひのとり」投入列車は、80101F-80104Fの4編成体制での運行となりました。
これら4編成の所属は高安検車区で、これまでの多くの新型特急車と同じく、80000系も運用開始からしばらくは大阪側を拠点に動かす事にしていたようです。
一方、日立製制御装置を搭載する編成群に関しては、2月下旬に搬入された80111Fが3月中旬より高安車庫南北内での移動を開始。以降は、留置場所の都合か、高安南車庫で滞在するのが常となっていましたが、4月上旬より深夜帯の本線試運転が始まっています。3月中旬に搬入された80112Fの方は、4月上旬時点でまだ編成を組んでいない状態だったようですが、中旬には編成を組んで南車庫の方へ移動した模様。この移動と並行して、第7編成にあたる80113Fが高安車庫へ搬入されています。
5月に入ると、日立製制御装置を載せた編成群も日中試運転がスタート。搬入順でまず80111Fが、5月7日(木)より最長[大阪上本町-東青山]間を走行しています。
ところで、この時期の日本はコロナ禍で緊急事態宣言が出されている最中でしたが、やはりこれに伴う外出もとい列車乗車の自粛は浸透していたようで、運行開始して2ヶ月少し経っていた「ひのとり」の乗車率もこの時期は低迷続きでした。
緊急事態宣言下における「ひのとり」の乗車率は、プレミアムシート車だと平日および土休日で概ね5%前後・レギュラーシート車だと[平日:10%台/土休日:20%台]が常だった模様。デビュー間もない頃かつGW等を挟んだ時期でしたが、ドル箱系統の運用に就く新型特急車の乗車率としては苦しい数字です。
同様の状況は「しまかぜ」の方でも起こっていたようで、私自身、平日の八木で誰一人乗車していない中間車両を含む営業「しまかぜ」が入線する光景を見かけて驚いた記憶があります。この時期の観光特急は、ビジネス特急以上に苦しい時期だったはずです。近鉄では、こうした状況が続く事を見越して、5月30日(土)より土休日ダイヤ下に運行する特急列車の一部運休を実施していますが、この時に「ひのとり」使用の名阪特急も1往復分(上り:766レ/下り:716レ)が運休とされました。
〔参考資料2〕土休日ダイヤに運行する一部特急列車の運休告知(5月)
(近畿日本鉄道株式会社-2020.05.19付発表)
一方、日立製制御装置を搭載する3編成の日中試運転は、5月中に順次開始となり、中旬14日(木)に80112Fが・下旬28日(木)に80113Fが名阪間から日中試運転を始めています。先行して上旬7日(木)より日中走行を始めていた80111Fの方は、中旬12日(火)より阪奈間でも試運転を開始。各編成は、その後も関西圏を中心に試運転が続けられていました。5月は、日立製制御装置搭載編成の営業運行に向けた調整が本格的にスタートした月だったように思います。
2019年10月より毎月1編成ペースで行われていた高安検修車庫への新規編成搬入については、4月中旬の80113Fで一旦ストップ。80101F搬入時には、一部メディアから4月までに7編成揃える旨の内容が報じられていましたが、実際、春に7編成が揃えられて初夏を迎える事となりました。
4月上旬以降、3月14日ダイヤ変更で設定された運用を4編成体制で回していた「ひのとり」ですが、6月に入って間もなく80000系投入列車の増便(=名阪乙特急の「アーバンライナー」運用追加)および営業編成の追加投入が告知されています。
この時の追加投入編成は、5月から日中試運転を開始した日立製制御装置搭載編成3本です。ただ、「ひのとり」の運用数増加に直接反映される故か、近鉄のプレスでは80104Fもこの時の追加編成にカウントされています。「ひのとり」使用列車の増便実施日は6月13日(土)からとされ、併せて5月30日(土)より運休していた土休日ダイヤの「ひのとり」2列車も同日より運転が再開される事になりました。
〔参考資料3〕「ひのとり」の増便および営業編成追加を告知するプレス(6月)
(KINTETSU NEWS RELEASE-2020.06.02付発表)
5月から日中試運転が続けられていた日立製制御装置搭載編成は、6月13日(土)からの「ひのとり」増便に合わせて順次営業入りしており、12日午後に80112F(東花園出庫→013レ)が・13日午前に80111F(白塚出庫→061レ)と80113F(富吉出庫→758レ)が運用を開始しました。この3本18両の新規投入によって、3月14日ダイヤ変更の時に続き4編成14両の12200系が12日の運用を以て特急営業から退いています。
この増便以降における80000系各編成の配属は、第1-5編成(=80101F-80104F/80111F)が高安検車区・第6-7編成(=80112F-80113F)が富吉検車区とされた模様。念のため補足しておくと、2020年12月現在において各雑誌発表の編成表・配置表等で明らかにされている80000系各編成の配属状況は、第1-4編成の所属場所が高安である事(=2020年4月1日時点)・その配置場所が(少なくとも)高安・富吉の2か所に分散している事の2点です。
ただ、各編成運転室のブレーキハンドル枝根本に貼付されているテープ色等から察するに、80111Fは高安検車区・80112Fと80113Fは富吉検車区の所属とされている事が伺えます。80000系各編成の配属状況が一般へ向けて次に明らかにされる機会は、増備が完了した来年度以降で発行の雑誌等による発表という事になりそうですが、ここでは今推定できる範囲での情報を記載しておく事にします。
ちなみに、車両の動きではありませんが、「ひのとり」の乗車機会増減に関連する話題として、コロナ禍で延期となっていた2月下旬以降の各種「ひのとり」試乗会の延期待ち状況がこの時期に進展・決着したというものがあります。
試乗会は、一般向け・近鉄GHDの株主向け・その他の団体向けに「ひのとり」デビュー前にあたる2月下旬から3月中旬にかけて行われる予定とされていたようですが、コロナウイルスの感染拡大を受けていずれも延期が決定。試乗会開催前の2月中旬には、それを告知する案内が発表されていました。
〔参考資料4〕「ひのとり」試乗会の開催延期案内(2月)および報道記事
(近鉄グループホールディングス株式会社 近畿日本鉄道株式会社-2020.02.19付発表)
近鉄「ひのとり」無料試乗会、新型コロナウイルス感染症拡大で延期
(マイナビニュース-2020.02.19-16:32配信記事/2020年12月29日閲覧)
(日本経済新聞電子版-2020.02.19-18:07配信記事/2020年12月29日閲覧)
いずれの試乗会も事前応募・抽選制が採られていたようですが、延期決定後における今後の開催見通しについては、先行き不透明な状況という事もあってか、この時の案内では触れられていません。その後、感染拡大を危惧する形で緊急事態宣言の発令があり、この試乗会を含めた不特定多数が集まるイベントを開催出来るような状況は日本全体でお預けとなりました。
2月発表の開催延期が最新の状況として認知される状態は、宣言解除後の6月開始時点でも続いていたようです。一方で、集合イベントを避ける形の代替試乗策も近鉄側で思案されていたらしく、「ひのとり」の増発が告知された後の同月上旬8日(月)には、今後の開催見通しに関する次の情報が一般試乗会に当選していた参加者に向けて告知されています。
延期になっていた名阪特急ひのとり無料試乗会、名古屋~四日市の往復試乗予定が、名古屋~難波の利用券に化けたー!😆 https://t.co/UX7KdMeCob pic.twitter.com/6yZ2GXKVco
— mafuyu (@_wx15) June 8, 2020
私は試乗会の抽選に外れているので連絡は来ていませんが、試乗会に当選していて続報が届けられた他の方の発信を見ていると、この時点で試乗を目的とする人々の集合イベントは中止とされた模様。ただ、その代わりに各人それぞれの裁量で試乗出来る機会を提供する事になったらしく、そのための方法として、試乗会に当選していた人数分の[大阪難波-近鉄名古屋]間の往復試乗券を別日送付する方針になったようです。
一般向け無料試乗会は、本来であれば、大阪発が[大阪上本町-榛原]の往復乗車・名古屋発が[近鉄名古屋-近鉄四日市]の往復乗車が予定されていました。これらの乗車権利が名阪間両始発駅の往復試乗券に置き換えられたと考えると、コロナ禍で仕方のない状況だったとはいえ、なかなかの厚遇が予定されていたのだと思えます。
試乗会イベントの代替方策は、6月時点で一般試乗会の参加者にのみ連絡されていたようで、近鉄GHDの株主向けやその他団体向けの試乗会については、延期状態のままだった模様。一連の代替策を確定させるのに先だって一般向け試乗会で様子を見る事にしていたのかもしれません。
一般試乗会参加者向けに充てられる事となった試乗券の送付に関しては、当初の連絡だと6月下旬発送予定とされていましたが、その6月下旬には発送されなかったらしく、当選者に対しては、発送準備が遅れていて8月上旬までの発送にずれ込む旨の連絡が代わりに追加送信されたようです。併せて、当初9月30日(水)までとされた試乗券の有効期限を10月31日(土)まで延長する事も告知されています。
一方、今年7月中旬以降の日本国内では、緊急事態宣言解除後で第2波と呼ぶべきコロナウイルス感染者数の増加がありました。発送準備の遅れと称して恐らくは送付に慎重になっていたであろう近鉄側も、こうした状況を鑑みてか、7月下旬には試乗イベント自体の中止を告知しています。
試乗会中止の連絡は、7月下旬に株主向け・一般向けと順次送信された模様。中止連絡を受けた他の方の発信を見ていると、株主向け・一般向けそれぞれで案内書面と共に当選人数分の「ひのとり」ノベルティグッズ数種(=株主向け:クリアファイル・キーホルダー・色鉛筆/一般向け:クリアファイル・車両カタログ・車両パンフレット・車両シール・色鉛筆)が同封されていたようです。
試乗会イベントの中止が通達されたこの時点で最初の延期告知から半年近く経っていましたが、近鉄側としても、人の集合を促す事を避けるのはもちろん、試乗イベントの延期状態をいつまでも長引かせるわけにもいかなかったでしょうから、最終的に中止で決着をつける判断はやむを得ない事だったのではないかと思えます。実際、イベントを延期から中止に追いやったコロナウイルスの国内感染者状況は、7月下旬から8月中旬にかけて拡大傾向にありましたし、この時の判断は妥当だったと思います。
6月13日(土)以降、7本体制での運用持ちとなった80000系は、名阪間10往復(土休日11往復)・阪奈間2往復(土休日1往復)の各列車へ就くようになりました。「ひのとり」の増便は、80000系の増備と並行して順次実施されており、次の充当列車変更と新規編成投入は11月に行われています。2020年度後半期の出来事にあたるこちらに関しては、次項目にて取り上げます。
他、2020年度前半期における80000系の新規編成搬入については、先述の通り、4月中旬の80113F以降しばらく途絶えた状態でしたが、8月下旬に第8編成にあたる80114Fを飛ばす形で第9編成の80151Fが陸送されました。同編成は、80000系もとい近鉄で初となる8両固定編成で、11月に新規投入された「ひのとり」の内の1本です。この8両固定編成の特徴や構成各車の搬入光景についても次項目で併せて取り上げる事とします。
この項目では、2020年度後半期にあたる10月以降、現在までの間で着目できた動きをざっと紹介します。
2020年度後半の開始日にあたる10月1日時点において、搬入済となっていた80000系は計8編成です。内、第1-3編成(=80101F-80103F)は「ひのとり」のデビューと同時に、第4編成(=80104F)は4月上旬から、第5-7編成(=80111F-80113F)は「ひのとり」投入列車が増発された6月中旬より営業列車へ投入されて運用中であり、残りの第9編成(=80151F)は運用に向けた整備段階にありました。
8月下旬に高安検修場へ搬入された80151Fは、9月上旬に8両編成が組まれており、その後は高安南車庫にて留置続きでしたが、10月に入ると日中試運転がスタート。運転初日は2日(金)で、これまでの他の編成と同様、まずは大阪線にて最長[大阪上本町-東青山]間で走り込みが行われています。9日(金)からは名古屋線への入線も始まっており、中旬は名阪間通しで大阪線と名古屋線を往来していましたが、下旬からは高安車庫での待機状態がしばらく続いていました。
一方、新規編成の搬入も年度後半期に入って早速始まっており、80151Fの日中試運転が開始した2日(金)からは、第10編成にあたる80152Fが高安車庫へと陸送されています。
同編成の搬入は、80000系の陸送としては8月下旬の80151Fに続いて約1ヵ月ぶり、また8両編成車(三菱製制御装置搭載)としては2本目でした。
8両編成の「ひのとり」は、構成全車が半永久連結器で連結されている6両編成と違って、編成中間にあたるサ80800形(4号車)とモ80700形(5号車)が電気連結器付き密着連結器で連結されています。この2両は、現状、8両編成車にのみ含まれる形式です。
モ80700形2位寄りおよびサ80800形1位寄りの妻面向かって右側には、構内入替等を想定していると思しき運転室区画が設けられており、その妻面には、上部中央に白色LEDを光源とする入替用灯具(1灯)を・中部右側に前方確認用の窓を常設。各運転室区画には車内・車外へ通じる乗務員用側扉が2か所あり、同区画が設けられている方位の車端床下中央部にはATS車上子も装備されていますが、標識灯ほか無線アンテナや排障器の類は設けられていません。実際どう使っていくのかはまだ分からないものの、見た限りだと、今後この顔が表に出る機会は、工場入場等での構内入替時ぐらいではないかと思います。
両形式が他の車両よりも柔軟な分割を可能とする仕様にされた理由としては、検査時のピット線容量(検修設備面)やパンタグラフの母線引き通し距離(車両設計面)などの長さ絡みの事情が考えられそうですが、この編成の長さもとい8両固定の編成構成は、車両の陸送や組成に際しても搬入の順序や車庫での留置状況に影響を与えていました。
※「ひのとり」8両固定編成で構内入替灯(および構内入替用中間運転台)が付くモ80700形とサ80800形の2形式に関しては、別記事でもピックアップして概説しています。気になる方は、そちらもも併せてご覧いただければと思います。
HV52 陸送 pic.twitter.com/mhsx9eDcZd
— 🔥Rikkun🔥 (@RKikumasa) October 2, 2020
編成を構成する各車の車体陸送は、6両編成でも8両編成でも、深夜帯に1日あたり2両分ずつ製造元の近畿車輛から搬入元の高安検修場へ運ばれています。但し、前者と後者とでは、搬入順序に違いがありました。
これまでの80000系の陸送における車両搬入は、6両編成の場合だと大阪方先頭車である6号車(ク80100形)とそれに続く5号車(モ80200形)から・8両編成の場合だと大阪寄り中間車である6号車(サ80300形)とそれに続く5号車(モ80700形)から行われています。
さらに具体的に言えば、前者は[①:6号車(大阪方先頭車)→5号車/②:4号車→3号車/③:2号車→1号車(名古屋方先頭車)]の順で・後者は[①:6号車→5号車(運転室区画付き中間車)/②:8号車(大阪方先頭車)→7号車/③:2号車→1号車(名古屋方先頭車)/④:4号車(運転室区画付き中間車)→3号車]の順で高安へ運び込まれました。
6両編成と8両編成の搬入に関連した違いは、構成各車の陸送順序と連関する形で、高安到着後における北車庫建屋付近での組成および留置状況でも見られました。
先頭車から運び込まれる6両編成の方は、組成する直前までの分割が[6-5号車/4-1号車]とされているようで、6両を組む前は[2両側:ク80100形の正面/4両側:サ80300形の1位寄り妻面]が敷地外側から見える状態での留置となっています。
一方、中間車から運び込まれる8両編成の方は、4号車と5号車の間のみ密着連結器で繋がれる仕様となっている事からも分かる通り、組成する直前までは[8-5号車/4-1号車]で分けた状態での留置です。8両を組む前は、大阪方から見てク80100形を先頭にした4両とサ80800形を先頭にした4両が分けられての留置となっています。それぞれの組成は、搬入順に基づき名古屋寄りから行われました。
この組成に際しては、自力で行っている節はなく、基本的に高安北車庫で常駐している構内入替車の力を借りているようです。
密着連結器を装備する車両を動かす際は、そのまま対面連結し、半永久連結器を装備する中間車を動かす際は、前もって入替車側にアダプターを取り付けた上で移動させる模様。先頭車に関しては、普段は排障装置奥側へ収納している密着連結器を引き出した上で連結が行われています。
10月上旬に高安車庫へ搬入された80152Fは、同中旬には8両編成を組成。その後は、他の編成と同様、日中試運転開始まで高安南車庫にて待機しています。
先だって日中試運転を行った80151Fの方も、10月下旬には高安車庫にて待機するようになっており、11月上旬までの高安南車庫奥側では、しばしば80151Fと80152Fが並んで留置される光景を見る事が出来ました。
一方、8両編成の「ひのとり」が2本出揃って間もない10月中旬には、6月以来となる「ひのとり」投入列車の増便と新規編成の投入が告知されています。新しく運用に入るとされた編成は、当然、夏以降に新規搬入された80151Fと80152Fの2本です。
〔参考資料5〕「ひのとり」の増便および営業編成追加を告知するプレス(11月)
~名阪特急がますます快適に~ 新型名阪特急「ひのとり」新たに 8 両 2 編成が登場します!
(KINTETSU NEWS RELEASE-2020.10.13付発表)
6月13日(土)に続く「ひのとり」使用列車の増便は11月21日(土)からとされ、プレスリリースのタイトルには「ひのとり」が8両編成で登場する事も明記されました。わざわざ両数まで記載しているところから察するに、近鉄側としては、長編成の車両投入を目玉として前面に出す事で「ひのとり」増発の周知を効果的に図ろうとしていたのかもしれません。
11月中旬からの投入が告知された時点での「ひのとり」8両編成車は、80151Fが名阪間の試運転中・80152Fが8両組成直前という状況でした。
その後、11月に入った時点では、両編成共に高安車庫での滞在が続いていましたが、日中試運転がまだだった80152Fの方は、11月9日(月)より本線走行がスタートしています。これまでの他の編成と同様、こちらもまずは大阪線にて最長[大阪上本町-東青山]間を走っており、10日(火)を除く14日(金)まで大阪線での日中試運転が続いていました。
一方、11月に入ってからも高安車庫で待機状態となっていた80151Fの方は、通常列車への投入に1週間先立つ形で中旬14日(土)に客扱いを開始しています。最初の営業は貸切運用で、他の方の発信を見ている限りだと、これは「ひのとり」営業開始前の3月に実施予定とされていたその他団体向け試乗会の1つだった模様。当日は名阪間を2列車に分けて走行したようで、午前に[大阪上本町→青山町(=7005レ)]間・午後に[青山町→近鉄名古屋(=0715レ)]間で運用されました。貸切終了後は折り返し高安まで回送されており、21日(土)の通常列車投入までは再び高安車庫で待機状態となっています。
80152Fの方は、14日(金)の日中試運転終了後、五位堂車庫へ入っていたようですが、17日(火)の日中に富吉車庫へ回送されました。以降、本線試運転等は行われていないようで、21日(土)の通常列車投入までは同車庫にて待機状態となっています。
これら8両編成車2本の配属に関しては、運転室内各所に貼付されているテープ色から察するに、両編成とも富吉検車区所属とされた模様。ここまでの80000系各編成の配属状況を整理すると、同系の配置場所は高安と富吉の2か所に分散しており、前者には[80101F-80104F&80111F]の5本が・後者には[80112F-80113F&80151F-80152F]の4本が所属しているという事になります。
以上は、あくまでも現況からの推定であり、確定情報や最終的な配置状況については、来年度以降と予想される雑誌等での発表を待ちたい所です。2020年12月時点で未配属状態の編成は残り2本(=80114F&80153F)ですが、現況から予測するなら、しばらくは高安と富吉でほぼ半分ずつ受け持つ事になるような気もします。
8両編成の営業初日とされた21日(土)には、両編成とも早速名阪間列車から運用を開始。この日以降、9本体制での運用持ちとなった80000系は、名阪間14往復(土休日15往復)・阪奈間4往復(土休日1往復)の各列車へ就くようになりました。80151F・80152Fの通常営業1番列車は、共にデビュー日から「ひのとり」運用へと変更された名阪甲特急で、前者は当日の大阪難波初発(高安出庫→007レ)・後者は当日の近鉄名古屋次発(富吉出庫→058レ)にあたる「ひのとり」から運用に就いています。
一方、この時の2本16両の営業投入により、6月の増便時に続く形で12200系の運用離脱も進展しました。今回の増便では、5編成16両の12200系が20日の運用を最後に特急営業から退いています。2020年開始時点で20編成74両が運用されていた同系でしたが、ここまでで着々と行われた80000系の増備によって順次引退が進んだ結果、11月21日時点で特急運用に入る車両は3編成12両(=12239F[明星所属]/12249F・12251F[富吉所属])のみとなりました。
ちなみに、11月21日以降の「ひのとり」は6両編成車(7本)と8両編成車(2本)の2種が運用に就く状況となったわけですが、「アーバンライナーplus」もそうであるように、収容人数が多い後者に関しては、平日・土休日共に充当される列車が絞られているようです。
私個人としては、その運用方法が気になる所であったため、11月21日から12月中旬までにおける約3週間を対象として、自身の実見や他の方の目撃情報などを基に2編成の運用状況と入出庫パターンを調べてみました。以下に示した一覧中の表現については、各アルファベットが[A:平日/F:金曜日/B:土曜日&休日]を・下線付きの運用表記が阪奈間運用を表しています。
先に断っておきますが、私自身は昔から列車運用に疎いです。推測も混ざっています。なので、運用前後の細かな動きや全体の正確さに関しては全く保証出来ません。
試しに割り出してみた様子では、平日・金曜日・土曜日・休日で入出庫に関する幾らかのパターンが存在する事が伺えました。現状の2編成は、名阪間と阪奈間の両列車に就く都合上、大阪側が西大寺車庫と高安車庫を・名古屋側が富吉車庫を拠点に運用されているようです。
当初の増備予定とされた3本の8両編成が揃った後も上記のパターンで回していくのかは不明ですが、今の2本体制だとパターンの入替が難しいという事もあってなのか、調べた3週間少しの間では、一部運用で6両編成による代走運転や他の運用パターンとの混在も見られました。来年実施される事が予想されるダイヤ変更でどういった状況となるのかは気になる所です。
80000系が9本体制で回されるようになった11月下旬以降、名阪甲特急は、その大部分が「ひのとり」の運用となりました。2020年度内に全ての名阪甲特急を「ひのとり」で運用する方針は、いよいよ次の増便で達成される事になりそうです(※)。
現状、次の増便案内は出ていませんが、増備予定とされる80000系も残り2本となる中、12月中旬には新たな編成の搬入が行われました。
新しく高安へ運び込まれたのは、第11編成にあたる80153Fです。同編成の搬入は、80000系の陸送としては10月上旬の80152F以来となる2ヶ月ぶり、8両編成車(三菱製制御装置搭載)としては3本目でした。
当初予定で3本とされていた80000系8両編成の増備は、この80153Fの搬入を以て完了となりました。
高安へ運び込まれた後の80153F各車は、これまでの8両編成と同様、まず[8-5号車/4-1号車]に組み分けられた状態で留置。その後、12月下旬に8両編成が組まれたようで、年末には北車庫端線で留置されていました。今後の流れとしては、年明けにも南車庫へ移動&試運転まで待機という動きになる事が予想されます。
一方、残る1本の増備予定車で第8編成にあたる80114Fに関しては、この記事を書いている現時点ではまだ未搬入です。ただ、「ひのとり」で名阪甲特急を統一する施策は、来春実施と考えられるダイヤ変更を以て完了する事が予想されますし(※)、こちらもそう遠くない時期に高安へ運び込まれる事になると思われます。
・・・
2021年1月8日発表のプレスリリースにて、2021年2月13日(土)より大阪難波・近鉄名古屋毎時00分発の名阪特急をすべて「ひのとり」で運行する事が近鉄から告知されました。併せて、両駅毎時00分発とは別で土休日ダイヤ下に設定されている停車駅が少なめの名阪特急も「ひのとり」で運行とされており、同日以降、名阪甲特急の充当車両は全列車が「ひのとり」で統一されるようです。
〔参考資料6〕名阪甲特急全列車への「ひのとり」充当を告知するプレス(2021年1月)
大阪難波駅・近鉄名古屋駅毎時0分発の名阪特急をすべて「ひのとり」で運転します
(KINTETSU NEWS RELEASE-2021.01.08付発表)
名阪甲特急の「ひのとり」化は、ダイヤ変更を交えない形で実施される運びになったわけですが、そうなると次は、今年度のダイヤ変更内容がどうなるのかが気になるところですね。
各年度末に行われるダイヤ変更の内容は、例年だと1月中旬から下旬にかけてのどこかのタイミングで発表されるわけですが、しばらく続くであろうコロナ禍を見据えての減便・減車や始発・終電時刻の変更は、何かしらの形で反映されるような気がします。もしかしたら、現行ダイヤ下でそれらのみを実施してダイヤ変更自体は行わないという可能性もあるかもしれませんが、いずれにしても続報を待ちたいところです。
(追加内容は以上)
以上、80000系「ひのとり」の営業開始前後から最近までで目立つと思えた動きを各時期別でざっと紹介しました。全体としては、2020年内に起こった「ひのとり」に関連する出来事の振り返りとなったように思います。
ここ数年の近鉄では、通勤車はもちろん(苦笑)、特急車の新車登場もありませんでしたが、そうした流れとはまるで対照的に、新型名阪特急車80000系は昨年後半から今年にかけて続々と車両の搬入が行われました。私自身は同系で初めて新車搬入の光景を目にする事が叶っており、短いスパンで多数の「ひのとり」用編成が登場した今年は、なかなか新鮮な1年であったように思います。
また、「ひのとり」の登場とは別に2015年度から進められてきた汎用特急車の新塗装化も22000系「ACE」の更新終了を以て完了。“見た目”という点では、近鉄特急は新たな時代へ突入したように思います。一方、塗装変更が行われず、今や前時代特急車の象徴的存在となっている12200系は、「ひのとり」の投入によって少しずつ特急運用から引退していきました。一部は団体専用車として今後も残りそうな雰囲気ですが、紺と橙の2色カラーの近鉄特急はいよいよ終焉です。
2020年を振り返ってみると、個人的に、近鉄車両の話題としては「ひのとり」関連が一番目立っていたように思いますが、その他世間の話題は専ら新型コロナウイルス関連で持ち切りだったように思います。
年初の感染懸念報道から早1年、今は第3波の感染拡大が各所で懸念され、生活に際してウイルスを意識せずにはいられない状況は、しばらく収まりそうにない気配です。本来開催されたはずのイベントも多くが延期ないし中止となり、今年は残念と思ってしまう状況が多々ありました。
思い返せば、今年の自身の趣味活動は、良くも悪くもコロナの影響を受けたように思います。鉄道車両の記録は近場で済ます事が増え、一時期はほとんど撮影しない事もありましたが、代わりにサイドビュー撮影や自宅での読書なり記録整理なりが随分と進みました。
また、列車の乗車そのものを楽しむ事もあまり出来ませんでしたが、代わりに今のブログに関連して色々と思案する時間が確保できたように思います。ただ、最後は少し楽しむ事にして、先日ようやく「ひのとり」に乗車しました。名阪間しっかり滞在しましたが、レギュラーシートでも十分な快適性があって感動した記憶があります。
今年も間もなく終わりですが、コロナを意識した行動はしばらく続ける事になりそう。
現時点で感染から治める術が確立されていない以上、2021年の状況が一体どうなるのか見当をつける事は難しいように思いますが、来年もまずは、自分と周りの親しい人の健康を維持する事に努めたいと思います。
今回の記事は以上です。
皆さん良いお年を。
「ピロのブログVer3」の簡易リンク集です。当サイトへのアクセス率向上に繋がる、鉄道まとめサイト・ランキングサイトのものをピックアップしています。クリックしていただけると嬉しいです。(全て新規タブで開きます)
このページの内容は以上です。