こんにちは
今回の覚え書き内容は表題の通りです。
昨年より特急車12200系の引退が順次進んでいますが、一方、その中で状態が良いと思われる編成は、廃車・陸送される事なく休車状態で各地の車庫に留まっています。
その後、昨年末から今年頭にかけて、2両2編成が五位堂検修車庫へ相次ぎ入場しました。その後、2編成は15200系15207F(=元12240F)および15208F(=元12250F)となって五位堂を出場しており、前者は明星車庫へ・後者は高安車庫と東花園車庫へ回送されています。
今回は、12200系の引退と連動して動きがあると思われる15200系に関して、これまでに竣工した各車両の中間連結器の状態をメモしておく事にしました。内容は、ユニット間分割部とユニット内分割部で2回に分ける事にします。
以前の〈メモ〉では前者を扱っているので、今回の〈メモ〉では後者を取り上げます。
以前(その1/ユニット間分割部)の〈メモ〉↓
※このページでは、各編成の車両組成状況を以下のように表した場合、【+】表記で分けられる場所を「ユニット間分割部」・【-】表記で分けられる場所を「ユニット内分割部」・【-1)+(1-】表記で抜き出せる中間車のみの組成を「中間2両組」と呼称しています。
→2両編成:[(1-1)]/4両固定編成:[(1-1)+(1-1)]/6両固定編成:[(1-1)+(1-1)+(1-1)]
※このページでは、1回目の車体更新をA更新、2回目の車体更新をB更新と呼称しています。
■ 第6〈メモ〉
●近鉄15200系-車両間の中間連結器
15200系は、廃車になった12200系からの改造で2005年度に登場した系列です。この年度に竣工したのは3編成で、2005年11月22日(火)に15202F・同12月27日(火)に15201F・2006年1月16日(月)に15203Fが改造所の高安検修場から出場しています。
15201Fおよび15202Fは、2013年度に後継の15205Fおよび15206Fに代替されて廃車・解体されており、現存しません。この2編成の中間連結器については、私自身も着眼して記録する事はしていないのですが、鉄道車両のサイドビュー画像を掲載している複数のサイトにて、その状態を確認する事は可能です。
以下、状態確認が比較的容易な画像を掲載している参考ページのリンクを掲載します。
〈参考〉15200系15201F-15203Fの中間連結器が確認可能なサイトと各編成の状態
※[15201F+15203F](公式側)を写したスリット写真が掲載
※[15202F](非公式側)を写したスリット写真が掲載
共に[かけやま写真館-長編成サイドビュー-私鉄(西日本)]より
↓
○ユニット間分割部
・15201F:密着連結器(電連付き)
・15202F:密着連結器(電連付き)
○ユニット内分割部
・15201F:大阪方ユニット=棒連結器(住金)/伊勢方ユニット=棒連結器(住金)
・15202F:大阪方ユニット=棒連結器(近車)/伊勢方ユニット=棒連結器(近車)
・15203F:棒連結器(住金)
〈参考〉終
各編成を見た所、編成によって中間連結器の形態が異なっています。以下、現行15200系として活躍している各編成の現況も交えながら、15200系のユニット間分割部とユニット内分割部それぞれの中間連結器状態を2回に分けて記します。
今回はユニット内分割部についてです。
●ユニット内分割部
15200系の種車となった12200系は、2両1ユニット構成で2~6両編成を組んだ系列です。ユニット内分割部にあたる中間連結器は登場時より棒連結器であり、竣工当初は、車両製造元の近畿車輛で作られたと思われる連結器(※1)を装備しています(以下、近車式と呼称)。
※1)「きんてつ鉄道まつり2010 in塩浜」の屋内展示ほか、[「近鉄車両―主要機器のあゆみ―/Ⅳ 連結器-1. 連結器-(2) 非運転台側」『〈特集〉近畿日本鉄道 鉄道ピクトリアル2018年12月臨時増刊号』、2018年12月10日発行、第68巻第12号 通巻954号、P206-207] を参考
近車式は、12200系に限らず、1970年代後半までに竣工した21m級の近鉄高性能車群に採用されていたようですが、以降の竣工車は半永久連結器(EX:CSE-76・CSE-80)の採用へ移行しています。採用連結器の移行期は車種・系列によって様々で、特急車だと[12400系→30000系]の別系列竣工を境目に半永久連結器の採用へ移行しました。
従前まで装備していた棒連結器を後の改造で半永久連結器へ変えた車両は少なく(EX:6000・6020・6200系の一部)、昨年まで「鮮魚列車」として活躍していた2680系2683Fの他、大井川鐵道へ移った16000系や養老線管理機構が保有する620系は現在も近車式を装備して活躍しています。
一方、最近までで近車式を装備する車両は上記に挙げた車両ぐらいです。1970年代後半までに竣工した他の車両は、今は別の棒連結器に交換して活躍中しています。こちらの連結器に関しては、近年の「きんてつ鉄道まつり」でも常に展示されてるように思いますが、その出自や名前は私自身よく分かっていません。
ただ、上で触れた文献の内容を参考にするなら、製造は住友金属(現:新日鐵住金)で名前は特に付けられていないという事になります。近鉄電車の連結器に広く触れている文献が他に見当たらないので、今回の〈メモ〉では、以下、交換後の棒連結器に関しては上記情報を前提に内容を進める事にします(以下、住金式と呼称)。
さて、本題に戻ります。
15200系のユニット内分割部の棒連結器には、上記〈参考〉でも触れた通り、近車式と住金式で2種類が存在しています。すなわち、15200系では、過去の在籍車なら15201Fの2ユニット(住金式)と15202Fの2ユニット(近車式)・現存車なら15203F(住金式)と15204F(近車式)と、ユニット内分割部の連結器が異なる編成が並存する状況があります。
15204Fに関しては、昨年の2680系2683Fの引退・廃車により、2021年1月現在の近鉄車両で近車式を装備する最後の編成となりました。同編成の引退・廃車で6800系から長らく続いたとされる近車式も近鉄線内の営業車では見納めとなります。
一方、15204Fと同じ2013年度に竣工した15205Fおよび15206Fのユニット内分割部に関しては、それぞれ住金式を装備しています。それぞれの種車となったのは12200系12243Fおよび12248Fで、団体専用車化時点では両編成の2ユニットとも既に住金式装備でした。いずれもB更新を受けた状態で団体専用車化されており、15204Fとは他に客室内装や屋根上等の外観面で幾らか差異があります。
15200系でユニット内分割部の連結器が異なる状態となっている点は、個人的に関心がある事の1つなのですが、各編成で状態が相違している一つの要因としては、更新した接客設備の違いがあるのではないかと考えています。
15200系の種車となった12200系の場合、『サイドビュー近鉄』や車両側面画像掲載サイト等で各系列各編成の連結器状態を確認すると、「アーバンライナー」並みの内装更新を行った4連以上の編成は、同系の前期B更新開始前後で[近車式→住金式]となっているケースがしばしば見受けられました。
また、上掲した文献には編成長大化に伴って住金式の導入が進められた旨の記載もあり、導入当時4連以上の編成は、(内装更新車に対する乗り心地向上を目的として?)車体更新時や検査・お色直し等実施のタイミングで順次[近車式→住金式]の交換が進められた事が伺えます。各編成の交換時期に関しては、明確には分かりません。ただ、早々に余剰廃車となった中間2両組が運用離脱時点(=後期B更新開始前)で既に住金式であった事を鑑みると、12200系の4連車および6連車に対する[近車式→住金式]の交換は2000年前後で順次完了したと思われます。
一方、A更新での接客設備改良が登場時の12400系基準で行われた当初からの2連車は、B更新が行われず、中間連結器も特急営業引退まで近車式を維持していました。15200系として最初に竣工した3本(の先頭車)は、この2連車を種車としています。
2013年度前半竣工の15204Fまでは上記12200系2連車が種車に含まれていましたが、その後、2013年度後半に竣工した15205F以降は編成全車がB更新施行済の内装更新車となりました。
なので、ユニット内分割部の中間連結器に関しては、先述した15205F&15206Fの他、2020年度に団体専用車化された15207F&15208F(=元12240F&元12250F)も住金式です。種車となった12200系2編成は、いずれも特急営業から引退した後に高安検修場で中間2両組を抜いて編成短縮を行っていますが、双方のユニット内分割部における中間連結器は既に住金式であったため、中間2両組を抜き出した後は、特に連結器関連の大きな改造もなくそのまま連結して2両編成となっています。
ところで、上記の通り「12200系のユニット内分割部の中間連結器は、21000系並みとなった内装更新車を対象に[近車式→住金式]へ交換された」と考えた場合、興味深いのが15201F-15203Fの連結器状況です。いずれもA更新止まりの12200系を先頭車とした「あおぞらⅡ」ですが、それぞれのユニット内分割部の中間連結器には近車式と住金式が混在しています。
各編成の中間連結器状況については、上記〈参考〉にて記した通りです。すなわち、「あおぞらⅡ」化に伴って、15201F&15203Fの両先頭車妻面寄りの中間連結器が[近車式→住金式]に・15202Fの中間2両組両端の中間連結器が[住金式→近車式]に変化しました。前者に関してはA更新止まりの2連車が住金式装備になった点・後者に関しては内装更新後で住金式装備だった状態が再び近車式に戻った点が特筆できます。
各編成で中間連結器の状況に違いが生じている理由は分かりませんが、個人的には連結器の在庫が絡んでいるのかなと思います。最後、各編成の中間連結器状況について考えた事を以下に〈メモ〉しておきます。
2005年度に竣工した15200系の登場順は、[15202F→15201F→15203F]です。最初の15202Fが2005年11月に竣工して以来、およそ一月ペースで「あおぞらⅡ」が登場しました。一方、同じ頃には12200系4連車および6連車の減車も行われており、2005年10月上旬に12256Fが[6連→4連]化・同年11月中旬に12241Fが[4連→2連]化・2006年1月上旬に12242Fが[4連→2連]化されています。この内、12256Fと12241Fから抜き出された中間2両組は、それぞれ15202Fと15201Fの中間2両組となりました。
この両編成に関しては、中間連結器を種車となった車両同士で入替&装備種統一を行ったのではないかと思います。すなわち、種車として15200系の各先頭車となる12200系2連車3本(N17/N20/N30)が揃っている中、最初に捻出された中間2両組(S32)は2連車2本(N20/N30)がそれぞれ装備する近車式を用いて11月に4両編成(PN02)を組成し、続く中間2両組(S41)は元より装備する住金式と先に捻出された中間2両組(S32)が装備していた住金式を組み合わせる事で先頭車の種車となった2連車(N20)も住金式にして4両編成(PN01)となったのではないかと思います。
そして、最後に登場した15203F(=元12217F)に関しては、当初より装備していた近車式を余剰となった中間2両組(S42)が装備していた住金式で置き換えたのではないかと思います。すなわち、団体専用車化で塗装変更や客室整備等の手入れを行っていた時期に、既存の近車式から置き換え可能な(乗り心地を若干改善出来る?)住金式が捻出された事により、転用改造と併せて中間連結器の装備種も変更したのではないかと思います。
A更新施行で止まっている他の2連車の中間連結器に関しては、先述した通り、以降は[近車式→住金式]へ置き換える動きは起こっていません。2013年度前半竣工の15204F(=元12231F)も、転用に伴う改造は車体外部色と案内表示板の変更および軽微な客室整備を行った程度で、中間連結器の方は近車式のままでした。
同編成以降の「あおぞらⅡ」化に関しては、これまでの廃車両から捻出されて存在するであろう住金式のストック品が近車式の交換で使われなかった事やその後に竣工した編成の内外装状況からから察するに、最初の3本が竣工した頃より改装コストを抑える形で転用を行っている事が伺えます。
18200系の団体専用車化から始まった『あおぞらⅡ』は、15200系が引き継いで以降、様々な状態の12200系による置き換えが起こりました。代替に使われる車両は、その時点での特急車で最低限かそれより少し上の接客設備を有する車両が使われているため、次の置き換えが起こる頃には、その内装や外観が備える各種要素がしばしば“希少”として捉えられる事があるように思います。
今回の中間連結器に関しても、現行の15204Fが近鉄営業車で“希少”な近車式装備車となった事から着眼したテーマでした。「あおぞらⅡ」や15200系は、12200系の特急営業引退後も引き続き残りそうな様子ですが、見方によっては、今後も各時代の12200系の特徴を残す車両の集まりとして時折り着目する事が出来る存在になるのかなと思えます。
今回の〈メモ〉は以上です。
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