ピロのブログVer3

Ver2の続きです

近鉄特急車 メモ

〈メモ〉近鉄26000系-前照灯の光源とLED標識灯の素子ユニット

こんばんは

今回の覚え書き内容は表題の通りです。

車両をよく観察している人や鉄道模型を趣味でやっている人にとっては度々気付かされる事かもしれませんが、近鉄各線で現役中の各系列・形式には、他車と比較した時の内外装の見た目で似ていたり違ったりする細かな要素が様々にあります。

車両ごとの共通点や差異は、現在に至るまで多様に見つける事が可能です。差異に関しては、他系列間のみならず同一形式間でも色々と存在しています。この違いの発生要因は、車両製造年次の違いであったり工場入場時の更新によるものであったりと様々あるように思いますが、今回は両者にあたる例として、特急車26000系における前照灯の光源とLED標識灯の素子ユニットについてメモしておく事にしました。


■ 第21〈メモ〉

●近鉄26000系-前照灯の光源とLED標識灯の素子ユニット

〈坊城-橿原神宮西口/2011-04-10〉
〈尺土-高田市/2016-04-09〉

26000系は、南大阪線系統の観光兼通勤特急に対応する車両として1989年度に登場した系列です。同系統を走る特急としては初めて車両に対する愛称が付与されており、89・90年度で各1本ずつ竣工した2編成は、現在に至るまで特急「さくらライナー」として活躍しています。デビューから約20年が経過した2010年度には内外装のリニューアル工事が施行され、この1回目の車体更新で車体への色使いや客室内の座席などが変更されました。

先頭車正面に常設されている前照灯や後部標識灯兼列車種別灯(=以下、「LED標識灯」と呼称)に関しては、リニューアル実施時には従前の状況から変化が無かったものの、一方で、これらは近年になってから光源の変更(前照灯)や素子ユニットおよびユニット配列の変更(LED標識灯)が行われています。今〈メモ〉では、この変更内容について、従前までの状況も踏まえつつ、見た目上の観点から前照灯・標識灯の順で簡単に取り上げる事にします。


〈橿原神宮前/2011-05-02〉
〈橿原神宮前/2011-05-02〉

まずは正面上部の前照灯です。登場時の光源はHSBとなっており、フロントガラス上部に常設された灯具を収める専用の区画に4灯が内蔵されています。近鉄の高性能特急車群で前照灯を4灯構成としたのは26000系が最初です。このスタイルは、以降、灯具光源の変化を交えながら50000系「しまかぜ」までの新造特急車に対して継続的に採られています。

〈橿原神宮前/2011-03-29〉
〈橿原神宮前/2011-03-29〉

26000系は、先述した通り、2010年度から2011年度にかけて内外装のリニューアル工事が行われていますが、前照灯の光源は従前と変わらず維持されました。

但し、車体への色使いが変更された関係で、灯具を収める区画の外観は更新前後で変化しています。すなわち、リニューアル後は、フロントガラスと灯具を収める区画が一体化して見えるようにする意図あっての事か、フロントガラスを覆う形で展開された黒色塗装が灯具を収める区画周りにも及ぶようになりました。

〈高田市/2018-03-25〉
〈橿原神宮前/2020-03-16〉
〈橿原神宮前/2021-02-05〉

前照灯の光源は、2011年度に2編成のリニューアルが完了した後もしばらくHSBで維持されていましたが、2017年度末になって2編成の光源が順を追って[HSB→LED]化されました。光源の変更は、26101Fが2018年3月上旬(=6日?)・26102Fが同3月中旬(=12日?)に行われており、以降、元に戻される事なく現在に至ります。灯具の交換は、運用前後の天美車庫入庫時に実施されたのではないかと思いますが、確認できておらず実際は不明です。

交換されたLED灯に関しては、見た感じ、LED光源の前照灯に交換された22000系リニューアル車や21000系(※1)で採用されたものと同等品が使われている様子です。すなわち、取り付けられたLED前照灯は、日中走行の通常点灯時は4灯(=各ユニット1灯×4基)・夜間走行のハイビーム時は8灯(=各ユニット2灯×4基)を点灯する仕様で、恐らく既存取付のHSBと互換性を持つコイト電工の製品と思われます。

〈二上山-上ノ太子/2017-04-04〉
〈二上山-上ノ太子/2018-05-04〉
〈二上山-上ノ太子/2017-04-04〉
〈壺阪山-市尾/2018-02-24〉
〈二上山-上ノ太子/2018-05-04〉
〈壺阪山-市尾/2020-04-03〉

灯具交換前後の前照灯点灯状態を比較すると、↑のような様子。LED前照灯となった後は、光源が小さいかつ鋭くなった印象です。機能面での実際の評価や今後については分かりませんが、灯具の寿命や夜間/暗所運行時の照度・光度・輝度などを考慮すれば、今後もLED前照灯で維持されるのではないかと思います。


(※1)…関連する以前の〈メモ〉



〈橿原神宮前/2009-05-03〉
〈橿原神宮前/2009-05-03〉

続いて正面下部のLED標識灯です。こちらは、前照灯と違って登場時点で編成別に差異がありました。具体的には、素子ユニットの配列および数に違いがあり、竣工時点における各編成先頭車の標識灯は、26101Fが[1列+9列×2段+1列]の20基構成・26102Fが[11列×2段]の22基構成となっています。素子ユニットは両編成で共通です。

双方のユニット構成は、2010・2011年度実施の内外装リニューアル実施時にも変更されませんでしたが、2020年度末に両編成の素子ユニットが相次いで変更された事により配列・数共に違いが無くなりました。以下、内蔵された素子ユニットの変更前後における標識灯の外観をそれぞれ取り上げていきます。

〈橿原神宮前/2011-03-29〉
〈橿原神宮前/2011-03-29〉
〈橿原神宮前/2011-05-02〉
〈橿原神宮前/2011-05-02〉

まず、竣工当初から近年まで現役だった素子ユニットです。こちらは、1ユニットあたりのLED素子配置が[黄色45か所/赤色16か所](※2)となっており、近鉄車両では1989年度に初出。新造車だと今回の26000系26101Fや5200系5206Fが先陣きって採用しています。

この素子ユニットは、22000系で採用された別タイプが登場するまでの基本となったようで、他だと20000系や5200系列の標識灯にも採用されました。ユニットの登場順で以前の〈メモ〉(※3)と表記を合わせるなら、上記素子ユニットを内蔵する標識灯は「タイプⅡ」です(以下、2020年度より前の26000系が備えていたLED標識灯を「タイプⅡ」と呼称)。

〈二上山-上ノ太子/2018-05-04〉
〈二上山-上ノ太子/2017-04-04〉
〈二上山-上ノ太子/2018-05-04〉
〈橿原神宮前/2011-03-29〉
〈二上山-上ノ太子/2017-04-04〉
〈橿原神宮前/2020-03-16〉

26000系が当初装備した「タイプⅡ」の標識灯を正面方向および斜め方向から見ると↑のような見た目です。先述した通り、素子ユニットの配列および数は第1編成と第2編成とで異なっており、その様子は正面からでも斜めからでも確認できます。

また、26000系の素子ユニットは、同ユニット内蔵の標識灯を備える他系列と違って曲線形状に配置されていますが、「タイプⅡ」の標識灯だと、LEDの点灯具合は正面からでも斜めからでも一定していました。この状態は、内蔵する素子ユニットが別タイプのものに換装された2020年度末以降、眺める角度によってLEDの点滅具合が異なる見た目へと変化しています。

〈今川/2021-07-11〉※26102F
〈今川/2021-07-11〉※26101F

従前と異なるタイプの素子ユニットを内蔵する新LED標識灯を遠目から見ると、↑のような様子です。走行時の正面を斜め横方向から見た際は、標識灯内部の光源が片方へ寄っているように見えますが、実際には全てのLED素子が点灯しています。26000系2編成が上記の見映えをする素子ユニットを内蔵した標識灯に変更されたのは、26101Fが2021年2月上旬・26102Fが同2月中旬です。以降は、元に戻される事なく現在に至ります。

〈橿原神宮前/2021-02-05〉※C#26101
〈橿原神宮前/2021-02-05〉※C#26101
〈橿原神宮前/2021-02-05〉※C#26101

先に換装された26101Fに関しては、五位堂検修車庫への検査入場時に変更が行われており、同時に素子ユニットの配列も26102Fと同じにされました(=[1列+9列×2段+1列]の20基構成→[11列×2段]の22基構成)。26000系が出揃った時点から見られた素子ユニットの配列および数の差異は、この時の交換完了を以て無くなっています。

一方、26102Fに関しては、26101Fの五位堂出場から間もなく、従前の素子ユニット配列を維持する形で標識灯が換装されました。こちらの交換は、恐らく運用前後の天美車庫入庫時に実施されたのではないかと思いますが、確認できておらず実際は不明です。

〈橿原神宮前/2021-02-05〉
〈橿原神宮前/2021-02-05〉
〈橿原神宮前/2021-02-05〉
〈橿原神宮前/2021-02-05〉

従前とは別タイプの素子ユニットおよびこれを22基内蔵する新LED標識灯の外観は、↑のような見た目です。素子ユニットに関しては、22000系で初出したタイプと同等品のようで、以前の〈メモ〉(※3)と表記を合わせるなら、上記素子ユニットを内蔵する標識灯は「タイプⅢ」となります(以下、2020年度より後の26000系が備えるLED標識灯を「タイプⅢ」と呼称)。

従前に備えていた「タイプⅡ」の標識灯は、色別で独立したLED素子の配置により点灯時は赤色設置部周辺が[+]状に見える外観でしたが、「タイプⅢ」の標識灯では、LED素子の変更に伴う形で点灯時は黄緑色と赤色が横線状に見える外観となりました。こちらは、1ユニット内にレンズが横並びで配置(9列4本と10列3本を交互配置)されている点が特徴です。レンズ内には緑と赤のLED素子がそれぞれ縦に1つずつ収められており、上下で隣り合う素子は同色で揃えられています(※4)。

〈橿原神宮前/2021-02-05〉
〈橿原神宮前/2021-03-10〉
〈橿原神宮前/2021-05-29〉

「タイプⅢ」の標識灯に内蔵される素子ユニットは、22000系以降、後年に標識灯が更新されたケースも含めて多くの車両に採用されていますが、いずれの配置も基本的には直線状とされているため、ユニットが曲線状に配置された26000系のように眺める角度によってLEDの点滅具合が異なる見た目とはなっていません。

詳細は不明ですが、現行26000系の点灯状況から判断するなら、この素子ユニットは、「タイプⅡ」の標識灯に内蔵された素子ユニットと異なり、正面側から見た時に特化して明瞭な点灯状態で映る仕様とされたのかなと思えます。

〈高安南車庫[敷地外より撮影]/2015-11-01〉
〈青山町車庫/2020-09-05〉

「タイプⅢ」と同じ素子ユニットを収める標識灯の今後の展開については分かりませんが、26000系に対して登場から30年少し経過した時期に勢力が多いタイプの素子ユニットが新しく採られた背景としては、恐らく、22000系登場以前に採られたLED標識灯に内蔵される素子ユニットの寿命や将来に向けた部品の共通化が念頭にあるものと思われます。実際、26000系と同じ素子ユニットを採った車両の一部は、近年になって従前装備のLED標識灯が「シリーズ21」と同じ種類のものに変更されました。

直近で交換が行われた26000系に関しては、これからしばらく「タイプⅢ」の標識灯が維持されていく事になるのだろうと思いますが、一方で残存する旧タイプのLED標識灯の今後は気になる所です。


(※2)

「タイプⅡ」のLED標識灯については、これが初期段階で採用された26000系や20000系のパンフレット(近畿日本鉄道株式会社発行)に詳細が掲載されています。前者は「南大阪・吉野線特急 SAKURA LINER KINTETSU26000-TECHNICAL NOTES-LIGHT ■標識灯/P19」・後者は「TECHNICAL NOTES-KINTETSU20000-LIGHT ■標識灯/P16」で図と共に解説があり、気になる方は参考になるかもしれません。

(※3)…関連する以前の〈メモ〉

(※4)

「タイプⅢ」のLED標識灯については、これが最初に採用された22000系のパンフレット「TECHNICAL NOTES-KINTETSU22000-■標識灯/P20 (近畿日本鉄道株式会社発行)」に詳細(図と解説)が掲載されています。気になる方は参考になるかもしれません。



今回の内容は、色々と車両を視たり撮ったり比較したりしていく中で割と気づかされるような要素への着眼でした。この手の要素は、一度気づいた後は普段からでも何気なしに認識する事ができる一方、私個人は、特段〈メモ〉なり〔雑記〕なりで書き残しておく必要もないと考えてそのまま頭の中だけで把握する状態としてしまうので、何かの拍子に特定の要素を振り返ろうとした際、過去の様々な思い返しが重なって整理と確認に手間取ってしまう事もしばしばあります。

ただ、コロナ禍の今は、在宅であれやこれやと考える時間も確保しようと思えば十分に取れるので、これまでに蓄積された着目要素で書き残しておきたいと思うような話題があれば、また〈メモ〉なり〔雑記〕なりへ反映してみようと思えます。

今回の〈メモ〉は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。