ピロのブログVer3

Ver2の続きです

近鉄特急車 メモ

〈メモ〉近鉄12600系-車両間の中間連結器

こんばんは

今回の覚え書き内容は表題の通りです。

車両をよく観察している人や鉄道模型を趣味でやっている人にとっては度々気付かされる事かもしれませんが、近鉄各線で現役中の各系列・形式には、他車と比較した時の内外装の見た目で似ていたり違ったりする細かな要素が様々にあります。

車両ごとの共通点や差異は、現在に至るまで多様に見つける事が可能です。差異に関しては、他系列間のみならず同一形式間でも色々と存在しています。この違いの発生要因は、車両製造年次の違い(改良)であったり検査入場時の手入れ(機器更新)によるものであったりと様々あるように思いますが、今回は前者にあたる例として、特急車12600系の中間連結器についてメモしておく事にしました。


■ 第13〈メモ〉

●近鉄12600系-車両間の中間連結器

12600系は、21000系以前に橙と紺のツートンカラーで登場した最後の特急車系列です。12000・12200系で確立された車両性能と12400・30000系から採用された内外装デザインを取り込んだ4両編成で、1982年度と1985年度に各1編成ずつ計2本が製作されました。

バラエティに富む近鉄特急車群の中では少数派の同系ですが、竣工年度に若干の開きが出た事により、製作された2本には各部位で若干の相違が見られます。今回は、その内の1つである中間車両の連結器種について、車両間の電気的な繋がり事情も交えながらメモしておく事にしました。

〈川越富洲原-伊勢朝日/2020-09-15〉※C#12751-C#12651
〈恩智-法善寺/2020-08-19〉※C#12752-C#12652

12600系の連結器は、正面の密着連結器が新廻り子式[CSD-90/電連付き]・妻面の中間連結器が三管式半永久連結器[CSE-80]を基本としています。但し、後者に関してはモ12750形とサ12650形の間のみ異なっており、具体的には、12601Fの間が[CSD-90]・12602Fの間が[CSE-80]となっています。共に登場時からの仕様のようで、鉄道ピクトリアル誌掲載の編成表(=No.505/近畿日本鉄道㈱車両部提供:昭和63年4月現在)にも連結器種の違いが反映されています。

〈Twitterより埋め込み・引用〉
〈Twitterより埋め込み・引用〉

この違いが生じている理由は不明ですが、個人的には、各車登場時の電気的な繋がりに関連しているのではないかと思います。

具体的に言えば、登場時における12600系のパンタグラフ数は、1982年度竣工の12601Fが4パンタ(=Mc-2/M-2)・1985年度竣工の12602Fが2パンタ(=Mc-1/M-1)だったようで、各車が搭載するパンタグラフの電気的な繋がりに関しては、前者が無し・後者が有りだった模様。後者に関しては、登場時からC#12752を介して引き通された高圧母線(と床下常設の母線過電流継電器)を活用しており、現在に至るまでパンタグラフ数に変化はありません。一方、前者はA更新時に併せて母線の引き通しを機能させており、2002年度のA更新完了前後で編成のパンタグラフ数が[4基→2基]へと変化しています。

同系と同様、登場時と現在とでパンタグラフ数に変化があった系列としては、他に12410系と30000系が挙げられます。前者に関しては、最終の12415Fのみ登場時から4連かつ4パンタ(=Mc-2/M-2)で登場しており、こちらは他編成の[3連→4連]化に際してパンタグラフ数も[4基→2基]化された模様。後者に関しては、登場時は先頭車に各2基を搭載した4連かつ4パンタ姿が通常で、その後、A更新時に両先頭車の前寄り常設のパンタが撤去されてパンタグラフ数が[4基→2基]化されています。

〈2018-02-05〉※C#12464
〈2017-07-22〉※C#12401

パンタの減数に際して各形式で共通するのは、この時にT車を介した母線の引き通しを機能させた事です。母線引き通し車を含む編成の特徴としては、屋根上にヒューズ箱を3つ備える車両が少なくとも1両は組み込まれている事が挙げられます。引き通しを行っていない編成では、基本的にパンタを装備する1車両あたりの箱数が2つです。

一方、12601Fの他、当初より4連で製作された12410系12415Fおよび30000系30214F&30215Fに関しては、登場時より母線引き通し対応仕様(=母線・母線過電流継電器を常設済)で竣工した模様。但し、いずれも当初4パンタで登場しており、引き通しの機能は封じ込められていました。これは屋上のヒューズ箱数にも影響しており、該当する各車にて現在3個横並びで常設されているヒューズ箱の内、機能に関連する中央の箱は非設置状態にされています。具体的には、12601Fが各M形式で箱2つ・12415F-C#12465がモ12460形の中では例外的に箱2つ・30214F&30215F(のモ30200形&モ30250形)が引き通し非対応で竣工した当時の他編成組み込み同形式と同数の箱2つ状態で、登場時における12410系のパンタ設置台然り、いずれも取付台だけは常設されていたようです。

〈2021-02-08〉※C#12651
〈2020-10-14〉※C#12652

取付台があるだけで中央のヒューズ箱がない屋根上状態は、現在は消滅しています。ただ、その面影は12601Fや30000系に組み込まれるM形式2両の現行屋根上状態で垣間見る事が可能です。

12601Fに関しては、前述の通り、2002年度のA更新時にパンタ減数およびT車を介した母線引き通しを行っており、同編成のM形式2両では、この際に追設したと思われる中央ヒューズ箱のみ新仕様(=上部取り外し部が[-]形)となっています。これに対して、登場時からの母線引き通しでヒューズ箱も当初より3箱常設状態であったと思われる12602FのM形式2両では、中央ヒューズ箱が現在まで旧仕様(=上部取り外し部が[凹]形)で維持されており、12602Fとの比較で12601F備え付けのヒューズ箱が中央のみ後付けである事が伺えます。

〈2018-02-07〉※C#30259
〈2017-10-28〉※C#30260

この新旧ヒューズ箱の混在状態は、12600系に先んじて母線引き通しを含んだA更新が行われた30000系でも見る事が可能です。ちなみに、比較的早期に[4基→2基]パンタ化された12410系12415FのC#12465に関しては、他のモ12460形や12602FのM形式2両と同じく旧箱3並列状態となっており、かつて中央のヒューズ箱が無かった事は伺えないと思います。

他、過去の姿の確認に関しては、ジェー・アール・アールより発行の『決定版 近鉄特急』P37にて掲載されているC#12651の屋根上写真(=中央ヒューズ箱の設置準備済かつ非設置状態)が有用です。


以上、屋根上の話が長くなりましたが、このパンタグラフの電気的な繋がりもとい離線対策に触れた上で個人的に思案してしまう事は、1編成あたりにおける編成内分割の考え方です。車両の制御にVVVFインバーターが採られて以降、架線下で活躍する近鉄車両の新製は、編成内に最低でも2基のパンタグラフを備える仕様で行う事が定石となりました。2両編成では前頭部のパンタ装備が当然の姿となり、4連固定以上でパンタ数が2基以下となっている編成は存在しません。

これらの編成の車両間の中間連結器は、6両以上の一部を除けば、全て半永久連結器です。なので、もし車両に何かしらの異変ないし運用離脱の必要が生じた場合は、(仕様からしてわざわざ電気的に編成内分割をする必要もなさそうですし)2連だと単独で・4連以上だと編成単位で自力稼働・救援待ちないし運用離脱をする事になると思われます。ちなみに、6両以上の編成の一部に関しては、工場・検車区内移動の都合故か、編成を等分ないし[2:1]の長さで分割(=分割部の連結器は密着連結器)できる仕様とされています。

実情は不明ですが、半永久連結器の採用状況から推察するに、もしもの場合があっても2連もしくは3連以上の「編成単位で動かす」という考え方は、1980年辺りから採用されるようになったのではないかと思います。母線の引き通しを行っていない車両も含めた4連以上の固定編成で全車が永久連結器で繋がれた最初の系列は、恐らく1979年度登場の一般車8800系です。直近に竣工した8600系や2800系の最終製造車は、半永久連結器こそ採用されたものの、密着連結器も併用されて等分割できる仕様とされました。

8800系以降の4連以上に関しては、奈良線系統だと直後から8810系や3200系が続き、大阪・名古屋線系統だと5200系を端緒として、順次同様の編成が竣工しています。特急車に関しては、3連以上だと12410系12411F-12414F・4連以上だと12600系12602Fが最初です。現行最長の6連だと21020系を端緒に全車永久連結器繋ぎとなりました。

特急車に関して興味深いのは、12410系の連結器状況です。同系各編成は、先述した12415Fを除いて当初3両で竣工しており、1983年度にサ12560形を挿入して4連化が図られました。同系は3連状態で既にM車間の母線引き通しを行っており、車両間の連結器も半永久連結器[CSE-80]が採られていましたが、こちらはサ12560形の挿入に際して、一部が密着連結器へ変更されています。これは竣工時の12415F(や12600系12601F)と同じ仕様への改めで、すなわち、サ12560形とモ12460形の間が密着連結器による連結状態へと変更されました。

既に8800系や8810系といった全車半永久連結器で連結の4連固定編成が存在する中、母線引き通し編成ながら等分割できる仕様へと改造された点や、この約2年後に全車半永久連結器で連結の12602Fを登場させた一方でサ12560形登場時にそれを行わなかった点は興味深く思えます。これに関連して、同じく興味深く思うのが、50000系の連結器状況です。こちらは、6連を半永久連結器繋ぎにした21020系が既に登場している中、[2:1]の長さで分割(=分割部の連結器は2段電連付き密着連結器)できる仕様とされました。

双方の連結器事情の詳しい所は分かりませんが、一運用あたりで一般車以上に資金が稼げる分、特急車の編成内分割は、有事の入れ替え・取り換え等にも備える形で出来るだけ短両数での分割(=[2両→4両])を可能に出来るよう念頭に置かれてきたのかもしれません。その中でも例外と言える名阪間特化型の21020系や80000系に関しては、有事の際も21000系や同系他を用いての編成単位で代替が利くだけの数があるという事を前提に6両を半永久繋ぎにしているのかなと思えますが、実情は不明です。


今回の内容は、外観上の差異を視るという点では、まあまあ細かな要素への着眼であったように思います。この手の細かい要素は、もう少し詳しく観てみようと思うきっかけに偶然まみえる事が多く、関連して必要と思う事柄の推察も複雑に絡んで来る事もしばしばです。ただ、後の振り返り等を考慮すれば、あまり着目されないような要素に関しても、推測も交えつつ、たまには自分の考えが及ぶ範囲で書き残してみようと思えます。

今回の〈メモ〉は以上です。


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近鉄電車が見える家で育った鉄道オタク。車両の差異や変遷に興味あり。鉄道の他に鳥も好きで、最近は鳩に癒される事がしばしば。